人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2010年11月18日

内発的動機づけを中心とした人事制度(1)

生きがいラボ・ニュースレター【2010年11月18日号】
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    内発的動機づけを中心とした人事制度(1)

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いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


私は「ヒトを活かす」ための仕組みを構築するコンサルタントです。


「どうすれば企業に関わる全ての人が幸せになるか」について、
いつも考えている訳ですが、考えれば考えるほどに、

今までの人事理論が通用しない時代になったことを感じます。



今までの人事理論の本質を簡単に言うと、

< 組織成員に「点数」をつけ、その点数に応じた「報酬」を与える >


ということです。


つまり、会社が望む結果を出せば「褒美」をあげ、
そうでなければ「罰」を与えるという『アメとムチ』の論理です。

悪い言い方をすれば、馬の鼻先にニンジンをぶら下げて、
それをエサにして限界まで走らせようとしていたわけです。



昔は、この論理でも効果がありました。

なぜなら、社員様が結果をつくったときには、
満足させられるだけの「褒美」を与えることができたからです。


高度経済成長期に象徴されるように、日本全体が成長している時は、
よほどマズい経営をしなければ会社は大きくなりました。

したがって、「給与」や「ポスト」「福利厚生」といった褒美も、
思う存分に与えることができたのです。

それに加えて、日本人の興味の対象が
物質的な生活レベルの向上にあった時代でもありました。


このような時代背景にありましたので、
「アメとムチ」の人事理論でも大きな『問題』にはなりませんでした。



しかし現在は、時代背景が全く違います。

高報酬を謳い文句に成長を遂げていたベンチャー企業でも、
わずか数年後に頭打ちする時代です。


社員様が満足するだけの「給与」や「ポスト」など、
経済的報酬によって動機づけし続けることが困難となりました。

加えて、日本人全体の風潮として、
物質的な充足よりも「心の充足」を重要視するようになってきました。

つまり、「給与」や「ポスト」よりも、
「仕事の働きがい」や「仕事とプライベートとの調和」などを
強く意識するようになってきたのです。



このような社会の変化に対して、「アメとムチ」の論理に侵された
経営者や学者、コンサルタントたちは、誤った方向に舵をとりました。



「アメとムチ」を厳格にする方向、

つまり、もっと強烈な「アメ」、もっと過酷な「ムチ」を与えるという
最も安易な方法を選んでしまったのです。



人事理論も例外ではありません。

様々な人事の理論が展開されましたが、
「アメとムチ」を厳格にするために、より『複雑化』していきました。



私はこれからの人事は、「アメとムチ」の論理、つまり
『外発的動機づけ』を脱していかなければならないと思っています。

では、何をコンセプトにするのか?


それが、表題にある『内発的動機づけ』です。

「内発的動機づけ」とは、仕事に対する動機づけの要因が、
仕事そのものへの「やりがい」や「充実感」であるということです。



私はこれからの時代は、人事制度だけではなく経営施策すべてにおいて、
『内発的動機づけ』がコンセプトになるべきだと思っています。


次回以降も、内発的動機づけによる人事制度について考えていきます。
  

         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2010年11月11日

目標管理制度がうまく機能しない原因(3)

生きがいラボ・ニュースレター【2010年11月11日号】
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    目標管理制度がうまく機能しない原因(3)

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つもありがとうございます。生きがいラボの福留です。

回までは、目標管理制度の問題点について扱いました。

今回は、目標管理制度を効果的に運用するための改善策を
考えていきます。



結論から申し上げると、目標管理制度を効果的に機能させるには、
目標管理制度を「考課(評価)」に使わないことです。


考課に使うということは、社員様からすると
目標管理の結果が処遇、特に「給与」に影響することになります。

これは、大変なインパクトがあります。

インパクトがあるからこそ統制のために使われてきたのですが、
給料の額をチラつかせて社員様の統制を図ろうとする意図自体が
人間の尊厳を無視しているように思います。

ですから、社員様のモチベーション向上につながらないのです。



目標管理制度を考課に使わないことで、様々なメリットがあります。


1.自分の活動を素直に反省することができる。

  目標管理制度が給与決定の基準に使われることによって、
  どうしても「良い評価が欲しい」という感情が生まれます。

  そうすると、自分の活動を素直に反省するというよりも、
  いかに「うまくいかなかった部分」を隠そうと考えます。

  これでは、目標管理が持つ本来の目的である
  「自己管理」による成長を実現することはできません。

  目標管理制度と考課を切り離すことで、
  社員様が自分の活動を素直に反省する環境ができるのです。


2.シンプルな制度にできる。

  考課に使われるということは、「点数」をつけるということです。

  したがって、目標管理制度が考課に使われることで、
  目標の「数」や「ウェイト」、「統一的な評価基準」などにより
  目標管理制度がドンドンと複雑になります。

  目標管理制度と考課を切り離すことで、
  非常にシンプルで運用しやすい制度づくりができるようになります。


3.上司が部下育成に集中できる。

  目標管理制度が考課に使われていると、上司の意識は、
  部下を育成することよりも、「部下に点数をつける」ことに
  向いてしまいます。

  目標管理制度における上司の本来の役割は、
  部下が目標達成に至るまでのサポートをすることにあります。

  その一環として、部下に足りない部分があれば、
  指導・育成を行なうことが必要です。

  目標管理制度と考課を切り離すことによって、
  上司が本来の仕事(部下育成)に集中できるようになるのです。



このように、目標管理制度を効果的に機能させる施策として、
「考課と切り離す」ことが有効です。

目標管理制度の本来の目的は「考課」ではありませんし、
考課に使うことで目標管理制度の良さが失われてしまいます。

社員様の働きぶりを考課する仕組みについては、
目標管理制度とは全く別の体系で行なえば良いのです。
  

         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2010年11月 4日

目標管理制度がうまく機能しない原因(2)

生きがいラボ・ニュースレター【2010年11月4日号】
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    目標管理制度がうまく機能しない原因(2)

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つもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、目標管理制度について
ピーター・ドラッカーが提唱した概念をお伝えしました。

そして、目標管理制度が7割以上の企業に採用されながらも、
なかなか効果的に運用されていない現状も述べました。

今回からは、その原因についてお伝えしていきたいと思います。



前回に述べた通り、ドラッカーが唱えた目標管理制度は、
組織側からの統制を強化するためのものではありません。

あくまでも、目標達成に向けてのプロセスを『自己管理』し、
そのなかで生産性を高めていく目的の制度です。


しかし、実際に目標管理制度を採用している企業では、
「自己管理」ではなく「統制強化」が目的となっているようです。

つまり、組織成員の目標達成度による査定に報酬を連動させて、
行動をコントロールしようとしているのです。


この論理は一見すると合理的に感じますが、
人間という感情に左右される生き物を理解していない論理です。

人間は根本的に、「自分で考えて行動する」ことを望んでいて、
そのような時に最高のパフォーマンスを発揮するのです。

したがって、他人からのコントロールや金銭的報酬によって
行動を押し付けられることは、モチベーションを下げ、
パフォーマンスを低下させることになるのです。



目標管理制度が「統制強化」のために運用されるようになった
理由としては、大きく2つあります。


一つ目は、給与決定のための「査定」に目標管理制度を利用した
からです。

給与を決定するためには、同一の賃金テーブルに属する組織成員は
同一の査定基準を適用する必要が発生します。

そのために、組織成員の行動を大きく統制する必要が生じ、
「目標管理制度」本来の「自己管理」が失われていったのです。


もう一つの理由は、上司の指導スキルの問題です。

目標管理制度を本来の「自己管理」として運用するとなると、
上司が部下一人ひとりの行動や課題を的確に把握する必要が出ます。

そして、目標達成のためのプロセスのどこに問題があり、
改善点は何なのかを指導する必要が出てきます。

上司としては、目標管理制度によって「統制」を強化し、
「目標達成できれば褒め、できなければ叱る」方が「楽」なのです。



ここまで、目標管理制度が効果的に運用されない原因を見ましたが、
次回はこれらを踏まえた改善策についてお伝えします。


         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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