人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2011年9月29日

社員さまを尊重する人事施策(6)

いつもありがとうございます!生きがいラボの福留です。


前回は、独立支援を中心に据えたキャリア開発制度を構築し、
社員さまに「経営スキル」を身につけてもらうことが、

会社にとっても、社員さまにとってもプラスだとお伝えしました。


しかし、制度や仕組みというものは全て、作っただけでは機能せず、
同時にそれが生きる風土もつくっていく必要があります。


風土をつくるなかで、私がもっとも大切だと考えているのが、
社員さまの「自律性」を促進することです。


「自律」という言葉は、
2006年に日本経団連が「自律型人材」の必要性を提唱している通り、
これからの日本社会におけるキーワードの一つだと思います。

私は、日本経団連の主張よりも広く捉えていて、
「自分の人生」を自律的に考えることが必要だと思っています。

自分の人生を自分で築いていくという決意を持った人材の育成が
必要だと考えています。


キャリア開発制度を活用するということは、
社員さまが自分の人生を設計していくことと同じ意味になります。

ですので、社員さまのなかに「会社がなんとかしてくれる」という
意識があったのでは、キャリア開発制度は絵に描いた餅になって
しまうのです。

「自分の人生は自分の意思で主体的につくっていく」という
強い意思を一人ひとりが持つことが必要になります。

そして、そのような意思を持つことが、
社員さまの人生にとって最も有意義なことなのではないでしょうか?


人生に対して「自律性」を社員さまにもっていただくためには、
地道な「教育」しかありません。

上司が、部下との対話のなかで、会社任せ・成り行き任せではなく、
「あなたはどうするのか?」と常に問うていく必要があります。

一見すると仕事とは関係のないことのように感じますが、
自分の人生に「他律的」だと、仕事も当然「他律的」になります。

社員さまが自分の人生を自律的に生きることによって、
キャリア開発制度も機能するようになります。

制度だけではなく、人材育成による風土変革も必要なのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2011年9月22日

社員さまを尊重する人事施策(5)

いつもありがとうございます!生きがいラボの福留です。


前回から引き続き、社員さまを尊重する人事施策について
考えてみたいと思います。


今回は、社員さまの「独立」について考えてみます。


業種によっては独立志向の強い業種もありますが、
経営者さまの多くは、社員さまが退職して事業を起こすことを
快く思っていない方が多いのではないでしょうか?

そのお気持ちは、とても分かります。

せっかく育てた社員さまが辞めるのは戦力ダウンになりますし、
競合企業が増えることにもつながります。

また、仲間が離れていくことへの寂しさもあるでしょう。

経営者さまのなかには、社員さまが辞める度に、
「自社に魅力がないからだ」と落ち込む方もいらっしゃいます。


私は「終身雇用」という言葉が個人的には好きで、

会社が社員さまの人生を終わり(定年)まで面倒を見るという
考え方に共感するものがあります。

また、将来についての安心感にもつながります。

気の合う仲間とずっと一緒に働ける環境というものは、
社員さまにとっても楽しいものだと思います。


しかし、個人的には好きな「終身雇用」ですが、
人事コンサルタントとしてはあまりお勧めできないと考えています。


なぜなら、「現実的ではない」からです。


経営環境は、刻一刻と変化しています。
現在は順調な会社でも、この先はどうなるかは誰も分かりません。

すべての会社に「倒産」の可能性は存在します。

そのようななかで「終身雇用」を謳うのは、
あまりにも不確実な部分が大きすぎると言わざるを得ません。

もし、「終身雇用」の名の下、
その会社でしか通用しない人材が育ってしまったとしたら、
会社がなくなったときのリスクは計りしれません。


私は、本当に社員さまのことを考えるであれば、
実際に独立するかは別として、

社員さまに「独立してもやっていける人材」に成長してもらうことが、
最良の施策だと考えています。


つまり、独立支援を中心に据えたキャリア開発制度を構築し、
社員さまに「経営スキル」を身につけてもらうということです。


これはもちろん、会社にもメリットがあります。


私の経験上、独立を目指している社員さまほど、
仕事で自発性を発揮していて、労働条件への不満などが少なく、
パフォーマンスも高い傾向があります。


もちろん独立に向く業種と向かない業種がありますが、
どのような業種であっても、

社員さまに経営に必要なスキルを身につけていただくことは、
会社にとっても、社員さまの人生にとってもプラスになります。


これからの不確実な社会においては、
「キャリア開発制度」の充実がより必要性を増すと思います。



当然、制度をつくっただけでうまくいくことはありませんので、
その辺りのことを次回に考えたいと思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2011年9月15日

社員さまを尊重する人事施策(4)

前回から引き続き、社員さまを尊重する人事施策について
考えてみたいと思います。



今回は特に、「目標管理制度」について考えます。



労務行政研究所の調査によると、
73.8%の企業が採用し、広く普及している目標管理制度。

しかし、目標管理制度が効果的に機能しているという企業は
かなり限られてきます。



目標管理制度の問題点として一般的に挙げられるのは、


1.達成度を上げるために、達成しやすい目標を設定する。

2.短期的な成果ばかりを追うようになる。

3.目標設定しづらい部門や職種がある。



しかし、私が考える目標管理制度が効果を生まない原因は、
社員さまを「コントロール」する目的でつくられていることです。


つまり、経営目標からブレイクダウンした目標を「押し付け」、
上司が目標と実績によって「評価」することで、

社員さまに望ましい行動をとらせようとしているのです。


人は押し付けられることを嫌います。

自分が目標設定する余地がないことで、押し付けられた感覚を
持ってしまうのです。

これは社員さまが悪いのではありません。人間のメカニズムです。

特に、入社して数年たち、実力がついてきた社員さまにとっては、
「自分の考えたようにやってみたい」という欲求を抑えつける
ことになってしまいます。

人は「変わりたい」欲求はありますが、「変えられたい」とは
思っていないのです。



ですので、本当に社員さまを尊重していくのであれば、
上司と部下の話し合いによって目標項目や達成基準を設定する
「対話型」目標管理制度を採用する必要があります。

そのなかでは、社員さまの個別的な事情を考慮したうえで、
社員さまと会社の方向性の一致点を探っていきます。


理想を言えば、
社員さまの「こうしたい」と会社の「こうして欲しい」が一致すれば
社員さまにとっても会社にとっても最高の状態です。

しかし、なかなかそうはいきません。だから「対話」なのです。


お互いの立場や事情の違いを、対話によって相互に理解を深め、
お互いに納得できる点を協力して探していくのです。


これは、時間がかかります。

しかし、時間がかかる分、
本当に会社と社員さまがパートナーとなれる関係が築けるのです。


この「対話型」目標管理制度は、
上司の人間性やスキルが今まで以上に問われる制度です。

上司が、部下の意見や立場を尊重し、
一人の人間として向き合う姿勢がなければ、うまくいきません。


しかし、上司の側でも、部下とパートナー関係を築き、
本当の意味で苦楽をともにできたときに初めて、

部下指導の本当の「喜び」や「充実感」を得ることになります。



「対話型」目標管理制度は、上司にとっても、部下にとっても、
仕事本来の喜びを感じられる制度なのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2011年9月 8日

社員さまを尊重する人事施策(3)

いつもありがとうございます!生きがいラボの福留です。


前回は、社員さまと共にビジョンをつくることが
社員さまのモチベーションアップにつながるとお伝えしました。


今回は、その補足になりますが、

会社の方向性についての議論を社員さまと行なおうとすると、
必ず出てくるのが「会社への不満」です。


経営者さまのなかには、

社員さまに意見を聞くと、不満も引き出してしまうので、
あまり意見を聞かない方が良い とおっしゃる方もいます。


しかし、真実は全くの逆です。


会社への不満というのは、放っておくとますます膨れ上がり、
会社への「不信感」に変わっていくのです、

不信感へと変わってしまうと、不満も言ってくれなくなります。

そして、最低限の仕事を最小の労力でこなそうという意識で
仕事をするようになってしまうのです。


ですので、社員さまの不満に対して、誠実に向き合う姿勢が
必要となるのです。



社員さまの不満のなかには、
労働時間や休日、給料、経営施策、トップのリーダーシップなど、
経営者さまにとって耳の痛い項目もあります。

経営者さまにとっては、
「自分が一番会社のことを考えているのに」という思いがあり、
受け入れづらいというのも分かります。

しかし、社員さまの声と誠実に向き合っていかない限り、
本当に良い会社にはなりません。


私の経験上、社員さまが本当に不満に思っているのは、
労働時間や給料、施策、リーダーシップなどの現象面ではなくて、

現場の社員が困っていることに目を向けようともしない
「会社の姿勢」に対して不満を持っています。

つまり、自分たちの存在を軽視されていることが不満なのであり、
労働時間や給料などへの不満は副次的なものなのです。



社員さまと共に良い会社を築いていこうとするのであれば、

社員さまを尊重し、社員さまの不満にも真摯に耳を傾け、
その解決に誠実に取り組んでいくことが必要となるのです。

その経営姿勢が社員さまの共感を生み、
社員さまから建設的な意見が出る社風をつくりだしていくのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2011年9月 1日

社員さまを尊重する人事施策(2)

いつもありがとうございます!生きがいラボの福留です。


今回から、社員さまを尊重する人事施策について扱っていきます。


経営者さまが、心から社員さまをパートナーだと考えていれば、
まず最初にすることは、「行き先を一緒に決める」ことです。


つまり、社員さまと一緒に「ビジョン」を設定することです。



多くの経営者さまは、「ビジョンはトップが決めるもの」という
固定観念を持っておられます。

もちろん、それが間違いだとは思いませんが、
それでは「会社は自分のもの」と宣言しているようなものです。

社員さまの意識には「雇われている」という意識が強く染みつき、
「自分の会社」だとは思えなくなります。

ビジョンをトップ一人で決めている限り、
社員さまに積極的・自発的な仕事を求めることは無理があります。



ピーター・センゲの「最強組織の法則」に、


 企業において、共有ビジョンは社員と会社との関係を変化させる。
 もはや「彼らの会社」ではなく「われわれの会社」となる。


とありますが、社員さまを尊重する人事政策をとるのは、
まず前提として「ビジョンの共有」が必要であり、

ビジョンを共有するには、「一緒につくる」という意識が必要です。




ビジョンを共有することは一朝一夕ではできません。

ビジョンを共有する出発点は、社員さまの人生を尊重し、
社員さまが個人としてのビジョンを描くことを応援することです。

共有されたビジョンは、社員さまの個人的なビジョンが結びつき、
まるで化学反応を起こすかのように生まれてくるのです。



このときに、注意するポイントが3点あります。


一つは、社員さまにビジョンをつくることを強制はできない、
ということです。

社員さまのなかには、受け身の姿勢が習慣化されてしまって、
自分のビジョンを描けない方も出てこられると思います。

そのときに、「ビジョンをつくれ!」と強制したのでは、
社員さまが心から動機づけられるビジョンは湧いてきません。

逆に、受け身の姿勢を強化してしまいます。

社員さまの自由を侵害しないように細心の注意を払い、
自由に自分の人生を設計できる雰囲気を作り出すことです。

あくまでも、社員さまがビジョンを描く「応援」なのです。



二つ目が、経営トップのビジョンも「個人的なビジョン」の
一つに過ぎないという認識を持つことです。

多くの場合、経営者さまは自分のビジョンが会社のビジョンだと
考えます。

それが間違いというわけではありませんが、
その意識を持っていると社員さまが自分のビジョンを描けないのです。

もし、社員さまが自分のビジョンの方向に進もうとすれば、
退職するしか道がなくなってしまうのです。


しかし、経営トップが、ビジョンを社員さまに伝えることは、
最も大切な仕事の一つであることに変わりはありません。

要は、自分のビジョンが「個人的なビジョン」の一つだと認識し、
社員さまが共感し、協力したくなるように伝えていくことが
大切なのです。

経営トップのビジョンを基礎にして、
社員さまが自分のビジョンを描けるような土壌をつくるのです。



三つ目が、ビジョンの多様性を受け入れるということです。

ビジョンを話題にすることで、さまざまな考え方の違いが
明らかになっていきます。

時には、対立する考え方を持つグループが現れたりします。

例えば、「顧客満足が先か、社員満足が先か」というように。


その時に、対話をあきらめたり、批判をし合ったりしては、
永遠にビジョンは共有されません。

お互いの違いはどこから来ているのかと「探求」し、
「本当に私たちが求めるものは何なのか」を自問することが大切です。

自分と違う考え方に耳を傾け続ける努力が必要となるのです。



このようにして、社員さまとの根気強い「対話」を通して、
個人個人のビジョンから「共有ビジョン」を築いていくのです。


非常に時間のかかる仕事ですので、
トップダウンで行なった方が手っ取り早いと考える方もおられます。

しかし、トップダウンで行なうのであれば、
社員さまと本当の信頼関係を築くことをあきらめなければなりません。

経営者として、会社のために命を削って頑張って、
ふと後ろを振り返ってみれば誰も付いてきていなかったという
そんな人生でよいのでしょうか。

一時的な感情に流されず、自分の人生をどうしていきたいのかを
真剣に考えていく必要があると思います。



このように、社員さまを尊重する第一歩としては、

トップが、会社を「自分のもの」ではなく「社会の公器」だと
心の底から思えるようになることが必要となります。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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