人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2012年4月26日

頑張った社員さまにどうやって報いるのか?(2)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


今回からは、社員さまにやりがいのある仕事を与えるためには
どうしたら良いかについて扱ってまいります。


一つ目のキーワードは「自律性」です。


自律とは、「自分で考え、自分で決め、自分で責任をとる」と
いうことです。

・自分で考える余地が残されていない
・何も自分で決められない
・つくった結果が良かったのか悪かったのかが分からない

という状態では、やりがいを持つことなど不可能です。


社員さまにやりがいのある仕事を与えるためには、
仕事において より大きな自律性を認めることが大切となってきます。


具体的には、どのように自律性を認めるかと言うと、
次の5分野で社員さま自身が意思決定できる範囲を広げていくことです。

・Time:時間、スケジュール
・Technique:仕事を進める手法、技術、プロセス
・Team:チーム編成
・Task:目標、課題、業務
・Money:予算、コスト


ダニエル・ピンク氏は著書「モチベーション3.0」のなかで、
自律の基本的要素として、「Time」「Technique」「Team」「Task」の
4Tを挙げていますが、

私はこれに「Money」を加えて、「4T+M」だと考えています。

この「4T+M」について、社員さまの実力を上司が見極め、
自由裁量の範囲を増やしていくことで「自律性」を認めることが、
やりがいのある仕事を与えることになります。


言葉にすると簡単ですが、これがなかなか難しいのです。


まず、社員さまが会社や上司を信頼していることが前提です。

もし、会社や上司への不信感があると、
自由裁量の範囲を広げることは「責任の押しつけ」のように
捉えられてしまいます。

日ごろから、社員さまを尊重する社風を醸成していることが
必要となるのです。


もう一つ難しいことは、上司にかなりのスキルが求められることです。

日ごろから部下を丁寧に観察し、部下の実力を把握していなければ、
裁量権を与えることはできません。


このように、「仕事の報酬は仕事」だと簡単に言っても、
実現するにはたいへんな努力が必要となります。

そうすると、手っ取り早い「金銭的報酬」を与えたくなるのです。


しかし、社員さまが本当に仕事にやりがいを持つためには、
4T+M に関して、「自分で決めている」という実感が必要です。

そうでなければ、会社や上司から統制されていると感じてしまい、
不平や不満ばかりが湧いてきます。

一見すると遠回りなようでも、
人間の本質に基づいた王道を歩むことが結局は近道なのです。


次回は、2つ目のキーワードである「挑戦と能力のバランス」を
扱ってまいります。

          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年4月19日

頑張った社員さまにどうやって報いるのか?(1)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回は「給与を決める基準」についてお伝えしましたので、

今回は「頑張った社員さんにはどうやって報いるのか?」を
扱ってまいります。


結論から言うと、「仕事の報酬は仕事」ということです。


もっと正確に言うと、

仕事の報酬は「さらにやりがいのある仕事」ということです。

仕事で頑張った社員さまには、安易に報酬で報いるのではなく、
さらにやりがいのある仕事をしてもらうことが大切です。


このように言うと、

「今でも一杯いっぱいなのに、これ以上 仕事を増やしたら、
 社員は嫌がりますよ!」

とおっしゃる方がいらっしゃいます。


それは、やりがいの"ない"仕事を与えているからです。


やりがいの"ない"仕事を与え続けると、
人は仕事を「苦役」だと感じるようになってしまいます。

そうなると、新しい仕事を与えようとすると、
「また面倒な仕事が舞い込んできた」と感じてしまいます。


社員さまにやりがいのある仕事を与えようとすると、
経営者・上司の側にスキルと工夫、人間的な器が必要とされます。

それができないので、
安易に「報酬」で報いるという方法をとってしまうのです。


心情的に「頑張った社員にはたくさんの給料をあげたい」という
お気持ちは分かりますが、

それが結果的に、社員さまのためにならない可能性が高いことは
前々回でもお伝えした通りです。


社員さまの頑張りには、さらにやりがいのある仕事で報いるという
大原則を徹底することが、

長期的には、社員さまにとっても、会社にとっても良いことなのです。


しかし、先に述べたように、やりがいのある仕事を与えるには、
経営者・上司の側にスキルと工夫、人間的な器が必要となりますので、

次回は、社員さまにやりがいのある仕事を与えるためには
どうしたら良いかについて扱ってまいります。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年4月12日

給与をどんな基準で決めるか?(2)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回は、給与を評価にもとづいて決めることのデメリットを
お伝えしましたが、

今回は、「何で給与を決めるのか?」を扱ってまいります。


評価に基づいて決められる給与制度のコンセプトは、
「金銭的報酬による動機づけ」です。

このコンセプトがいかに無理があるかについては、
前回でお伝えしました。


給与を評価で決めないということは、
このコンセプトそのものから変わるということです。

新しいコンセプトは、「安心できる環境づくり」です。


そのために、3つの基準で給与制度を設計します。


1つ目は、最低ラインとして「標準生計費」を用います。

標準生計費とは、人事院が算定していて、
標準的な生活を営むのに必要な費用の目安となります。

つまり、標準生計費(実際には標準生計費の約1.3倍)を
下回る給料では、普通の生活ができないということです。

ですので、給与制度を設計する際の最低ラインとして、
標準生計費(の約1.3倍)を基準として用います。


2つ目には、「世間相場」です。

給料に関する不満を持つ方は多いのですが、
多くは「誰かと比べて少ない」という感覚からくる不満です。

つまり、給料の額そのものに対しての不満ではなく、
同僚や部下や上司、あるいは同業の同世代の友人と比べて
「自分の給料は少ない」と不満を持つことが多いのです。

そこで、給与制度を設計する際に、
業界や地域での給与に関する相場を目安として使います。

データとしては、厚生労働省が出している
「賃金構造基本統計調査(以下、賃金センサス)」を使います。

政府統計に関しては「e-Stat」にまとめられましたので、
非常に便利になりました。

賃金センサスでは、産業別、職種別、都道府県別など
さまざまな切り口で膨大なデータがあります。

しかも、無料で使えます。


この賃金センサスを中心に、
ハローワークの求人情報や各企業サイトの採用ページ、
あるいは経営者さまが持っておられる相場感などを使って、

自社の業種・地域・規模、社員さまの年齢・経験・役職ごとの
給与相場を考え、給与額を設定するのです。


3つ目は、「会社の支払い能力」です。

何が困るといって、
会社が倒産することほど社員さまが困ることはありません。

もちろん、お客様や取引業者、地域社会など
会社が倒産することでたくさんの方々を困らせてしまいます。

ですので、社員さまは給料が多い方が嬉しいですが、
会社の支払い能力を超えた人件費負担は避けるべきです。

具体的には、「労働分配率」を目安にします。


しかし、会社の支払い能力の範囲内で抑えるために、
社員さまの給料が低くなるというのも避けるべきです。

社員さまには生活があり、日々の生活が困るようでは
仕事に集中することなどできません。


ですので、人件費は、採用で長期的にコントロールしていく
ことをお勧めします。

短期的に人件費をコントロールしようという取り組みには
絶対に無理が生じます。


採用というのは、10年後、20年後、もっと長期間にわたって
人件費に影響を与え続けます。

そのことをきちんと考えたうえで採用活動を行なっている会社が
意外に少ないのが実感です。

人手が足りないという理由で、安易に人を採用するのではなく、
業務フローを見直すなど、先にやるべきことがあります。



このように、「標準生計費」「世間相場」「会社の支払い能力」の
3つを基準にして給与制度を設計します。

コンセプトは、「安心できる環境づくり」です。


このように説明すると、
「では、頑張った社員さんにはどうやって報いるのですか?」と
ご質問いただきます。

次回は、その点について扱いたいと思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年4月 5日

給与をどんな基準で決めるか?(1)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


私に人事制度のご相談をしてくださった方々のほとんどが、
「評価と給与を連動させない」という私の考え方を聴いたときに、

「では、どうやって給料を決めるのですか?」

とご質問されます。


どの人事制度の本を見ても、どの人事コンサルタントに聞いても、
「給与は評価に基づいて決める」ことは当たり前となっています。

ですから、このような疑問を持つことは当然です。


しかし、評価に基づいて給与を決めることは、
社員さまのモチベーションと会社の財務体質の両方にとって、
あまり良い方法とは言えません。

なぜなら、


1.金銭的報酬で動機づけしようとすると、
  社員さまは仕事そのものへの関心や充実感を失ってしまう

2.評価に応じて昇給を行なっていくと、
  企業業績に関係なく人件費が膨れ上がる可能性がある

3.評価と給与を精密に連動させようとすると、
  人事制度が複雑になり過ぎて、運用できなくなってしまう


の3つの理由からです。一つずつ見ていきましょう。



まず1番目ですが、金銭的報酬による動機づけは、
社員さまの目を仕事やお客様ではなくお金に向けてしまいます。

このことは、何度も申し上げてまいりましたので、
過去の記事をご覧いただければと思います。

お金は人生のとって大切なものですが、
それで「釣ろう」とすると、逆効果になることがほとんどなのです。

仕事による本当の喜びや充実感は、お金ではつくれないのです。


2番目の理由ですが、人件費負担が肥大している企業さまでは、
このような現象が起こっています。

評価と給与を連動させる制度にすると、
業績が悪いのに人件費は毎年 一定率で上がっていく可能性があり、
将来的には企業の存在も危うくなってきます。

なかには、この点を配慮して、
企業業績が悪ければ評価が良くても昇給しないという人事制度も
拝見することがありますが、

これは、金銭的報酬で動機づけするというコンセプトに矛盾し、
人事制度内部で論理が破たんしてしまっています。

そのような中途半端なことをするのでしたら、
「金銭的報酬を動機づけに使わない」と決めてしまった方が、
合理性の高い制度になります。


3番目の理由ですが、評価と給与を連動させようとすると、
人事制度がドンドンと複雑になります。

ほとんどの中小企業には、人事専任部署がありませんので、
人事制度はシンプルなほど良いのですが、

評価と給与を連動させようとするとシンプルにできないのです。

もともと、「人が人を評価する」こと自体に限界がありますので、
評価をどれだけ客観的に合理性があるようにしようとしても
無理が出てきます。

評価を無理やりに精度の高いものにしようとすればするほど、
人事制度が複雑になり、何がなんだか分からない制度になって
しまうのです。


今回は、給与を評価にもとづいて決めることのデメリットを
お伝えしましたが、

次回は、「何で給与を決めるのか?」を扱ってまいります。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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