人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2012年6月28日

人事制度のあるべき姿を探求する(4)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


今回は、人事制度が「金銭的報酬」による動機づけを捨てると
どのような制度になるかをお伝えしたいと思います。



結論を申しあげると、
「評価制度と給与制度が連動しない」ということになります。


これを聞くと、人事担当者や人事コンサルタントの多くは
戸惑ってしまいます。

なぜなら、今までの人事制度理論が追求してきたのは、
評価制度と給与制度を精密に連動させることだったからです。

つまり、誰もが納得する評価方法で社員さまに点数をつけ、
それを正確に給与に反映させるということです。

「評価制度と給与制度が連動しない」ということは、
今までの人事制度理論の全く逆の発想になります。



しかし、内発的動機づけを人事制度の中心に置くには、
評価制度と給与制度の連動を断ち切ることが不可欠です。

思い切って「連動」を断ち切ると、
人事制度が抱える問題が次々と解消されていきます。



まずは、人事評価制度が「査定」から「人材育成」の仕組みに
変わります。

本来の人事評価制度の目的は「人材育成」なのですが、
評価結果が給与制度とリンクしていたために「査定」の制度に
なってしまっていたのです。

そして、自分の失敗を隠したり、評価が上がるように取り繕ったり、
自分の評価を素直に反省することができなくなっていたのです。

人事評価制度と給与制度を連動させないことで、
人事評価制度を人材育成に特化した制度にすることができます。


点数をつける必要がなくなりますし、
評価項目も一人ひとりの状況に合わせて設定することができます。


目標達成率が評価項目のときに、どうしても目標を低く設定して
達成率を高めようという意識が働きますが、

給与制度と連動しなくなると、チャレンジングな目標を設定できる
ようになります。


評価面談も、点数を決めるための退屈で面倒な時間から、
上司と部下が共にビジョンを語り合える楽しい時間に変わります。



このように、人事評価制度を給与制度から切り離すことで、
人事評価制度が生き返っていくのです。



しかし、人事評価制度と給与制度を切り離すことによって、
新たな問題も生じます。

それは、「どのようにして給与を決めるか」ということです。



そもそも、給与制度をどんなに精緻な仕組みにしたところで、
給与への不満がなくなることはありません。

必ず不満は出てきます。

給与制度で社員様を動機づけようとすること自体が
根本的に間違っているのです。



人事評価制度と給与制度を切り離すならば、
給与制度の基本コンセプトを変える必要が出てきます。

それは、今までの「動機づけ」というコンセプトから、
「安全・安心の提供」というコンセプトへの転換です。


社員さまの貢献に報いる手段に給与を使うのではなく、

能力を発揮する場を与えたり、キャリア開発を行なったり、
自律的に働ける環境を提供するなどの

金銭的報酬以外を行なっていくということです。

つまり、内発的動機を刺激する人事施策を執るのです。



そして、給与制度は、賃金相場や生計費を考慮して、
生活保障的な意味合いの強い、シンプルな制度にします。

給与額を意識しなくても良いような給与制度が理想です。

言い換えると、給与の額など気にせずに、
仕事に集中できる環境を整えていくということです。



この考え方は、今までの人事制度理論の正反対の考えなので
違和感を持つ方がいらっしゃるでしょうが、

組織と個人の関係性が変わりつつある現状を考えると、
この方向性に進むべきだと考えています。


組織が社員さまをコントロールするという時代は終わりました。

これからは、自律した個人が、組織という環境を活用して
自己実現していく時代です。


流れにしたがい、ヒトと組織の関係性を規定する人事制度も、
根本的に変革すべき時だと思います。


         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年6月21日

人事制度のあるべき姿を探求する(3)

今回からは、「内発的動機づけ」による人事制度の内容について
考えていきたいと思います。


まず本論に入る前に、「名称」についてですが、

「制度」という言葉からは、
なにか堅苦しくて、人を縛り付けるようなニュアンスを感じますが、

これからお伝えするモノは「制度」という言葉の持つイメージとは
違っています。


組織のなかにいる人に対して、
内発的動機づけを高めるために相互に影響しあう仕組みという意味で
「システム」という言葉の方が適切かもしれませんが、

ここではあえて一般的に使われる「制度」という言葉を使います。


さて、本論に入ってまいります。


まず、『内発的動機づけ』を人事制度の中心に置くならば、
捨てなければならない考え方があります。

それは、金銭的報酬でモチベーション向上を図ろうという考えです。

しかし、これは今までの人事制度の根本的なコンセプトでした。
つまり、今までとはコンセプトが根本から変わるということです。


人事制度を「外発的動機づけ」から「内発的動機づけ」に変えると、
制度の根本にある『人間観』『仕事観』は次のように変わります。


●人間観

外発的動機づけ=「放っておくと怠ける」
内発的動機づけ=「学習欲・創造欲・貢献欲に富む」


●仕事観

外発的動機づけ=「仕事は苦役」
内発的動機づけ=「仕事は喜び(仕事そのものが報酬)」



上記のような「内発的動機づけ」の考え方には、
多くの経営者さまも共感され、会社をそのような価値観にしたいと
思っておられることでしょう。

しかし、実際の社内を見渡せば、そのようになっていないことが
ほとんどではないでしょうか?


それは、経営者さまの心のなかでは、
社員さまに「内発的動機づけ」を与えようと思っていたとしても、

人事制度をはじめとする具体的な経営施策が
「外発的動機づけ」をその基本コンセプトとしていたからです。

社員さまから見ると「言っていること」と「やっていること」が
違っていたのです。


これはある意味、仕方のないことです。

なぜなら、人事制度をはじめとする経営理論のほとんどは
「外発的動機づけ」を基本的なコンセプトにしているからです。

したがって、いくら社長さまが、
「社員さまのために人事制度をつくりたい」という風に思い、
さまざまな工夫を凝らしたとしても、

根本的な構造が「アメとムチ」による統制を意図していますから、
社員さまには「また社長は会社側に都合の良い制度をつくった」と
見えてしまうのです。


もし、本当に「アメとムチ」によるコントロールを捨て、
社員さまが仕事にやりがいを感じる会社をつくりたいのであれば、
全く新しいアプローチが必要となるのです。

次回は、人事制度において「金銭的報酬」による動機づけを捨てると
どのような制度になるかをお伝えしたいと思います。


         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年6月14日

人事制度のあるべき姿を探求する(2)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回は、時代背景の変化によって、
「アメとムチ」によるコントロールが限界になってきたことを
お伝えしました。


人の動機づけの要因としては、2つの種類があります。


一つは、外部からの刺激で動機づけられる「外発的動機づけ」です。

外発的動機づけのコンセプトを簡単に言うと、
アメとムチによって組織成員をコントロールしようということです。

したがって、組織内は、
「コントロールする側」と「コントロールされる側」に分かれます。

人間には支配欲や権力欲がありますので、
「コントロールする側」にとっては、この状態は欲求に適合します。

つまり、外発的動機づけによる施策は、
「コントロールする側」にとっては非常に合理的で魅力的なのです。


しかし、「コントロールされる側」にとっては、
誰かにコントロールされることで動機づけられることはありません。

なぜなら、人間は本質的に「自分で考え、自分で決め、行動する」
という欲求を持っているからです。

つまり、外発的動機づけによる施策では、
根本的に社員さまを本心から動機づけることは不可能なのです。



もう一方の動機づけの要因は、

仕事そのものへの「やりがい」「充実感」「達成感」が要因となる
「内発的動機づけ」です。

仕事が楽しいから一生懸命に取り組む、という状態です。


単純なルーチン作業では、
外発的動機づけでも仕事のパフォーマンスは向上します。

逆に、創造性や自発性などが求められる仕事では、

外発的動機づけではパフォーマンスが低下し、
内発的動機づけではパフォーマンスが向上することが分かっています。

イヤイヤさせられる仕事で創造性が発揮できないことは、
すぐにイメージが湧くと思います。これが人間の本質なのです。

そして、時代の流れは、創造的で自発的な仕事を求めています。


時代の流れを見ても、人間の本質面から見ても、

外発的動機づけには限界があり、
これからの人事制度は「内発的動機づけ」を中心的なコンセプトに
するべきだと考えています。

次回からは、「内発的動機づけ」による人事制度の内容について
考えていきたいと思います。


         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年6月 7日

人事制度のあるべき姿を探求する(1)

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


私は、常に「社員さまが生きがいを持って働ける会社づくり」には
何が必要かを考えています。

このことについて考えれば考えるほどに、
今までの人事制度の考え方が通用しない時代になったことを感じます。


今までの人事制度の本質を簡単に言うと、

< 社員さまに「点数」をつけ、その点数に応じた「報酬」を与える >

ということです。


つまり、会社が望む結果を出せば「褒美」をあげ、
そうでなければ「罰」を与えるという『アメとムチ』の論理です。

悪い言い方をすれば、馬の鼻先にニンジンをぶら下げて、
それをエサにして思い通りの方向に走らせようとしていたわけです。

経営者さまにそのような気持ちがなくても、
制度がそういうコンセプトですから、社員さまにはそう映るのです。


昔は、この「アメとムチ」の論理でも効果がありました。

高度経済成長期のように日本全体が成長している時は、

社員さまが良い結果をつくったときには、
満足させられるだけの「褒美」を与えることができたからです。

経済が成長していれば、「給与」「ポスト」「福利厚生」などで
褒美を思う存分に与えることができました。

それに加えて、日本人の興味の対象が
物質的な生活レベルの向上に向いていた時代でもありました。

このような時代背景にあったときには、
「アメとムチ」の人事制度であっても問題にはなりませんでした。


しかし現在は、時代背景が全く違います。

高報酬を謳い文句に成長を遂げていたベンチャー企業であっても、
わずか数年後に頭打ちする時代です。

「給与」や「ポスト」などの経済的報酬によって
社員さまを動機づけ続けることは、ほぼ不可能と言って良いでしょう。

加えて、日本人全体の傾向として、
物質的な充足よりも「心の充足」を重要視するようになってきました。

「給与」や「ポスト」などの金銭的報酬よりも、
「働きがい」や「仕事とプライベートとの調和」「社会貢献」を
強く求めるようになってきたのです。


このような社会の変化に対して、
「アメとムチ」の厳格化へと舵を切って失敗してしまったのが、
一時期に流行した「成果主義」です。

成果主義の名の下、さらに強烈な「アメとムチ」を与えるという
安易な方法を選んでしまったのです。

そして、成果主義を厳格にするため、人事制度は複雑化していき、
中小企業・ベンチャー企業では運用が困難になってしまいました。


誤解のないようにしておきたいのですが、
私は「成果主義」を全面的に否定しているわけではありません。

仕事において、「成果」が最も重要な要素であることは当然です。

成果主義という名目で、
社員さまを「アメとムチ」でコントロールしようとしたことが
間違いだったと言っているのです。

人間は単なる労働力ではなく「意思」を持った存在です。

人間という意思ある存在には「アメとムチ」は合わないのです。


これらのことから、私は、
今までの人事制度は既に限界に達していると考えています。

運用方法を工夫するなどの対症療法では効果がなく、
コンセプト自体がライフサイクルを終えつつあると考えています。

コンセプト自体が死につつあるなかでは、
人事制度を「人材育成が目的」などと再定義したりしても、
構造自体がそのままではまるで意味がありません。

つまり、その根底から見直す必要があると思うのです。


そこで、「何をコンセプトにすべきなのか?」という問いについて、
次週に考えていきたいと思います。


         生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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