人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2012年8月30日

論理的誤差

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


今回は「論理的誤差」という評価エラーについて扱っていきます。


人事評価は、事前に設定された評価項目に関して行ないますが、
それぞれの評価項目の内容がつながっていることがあります。

たとえば、仕事で高い結果を残していれば、普通に考えると、
「正確性」も高いと考えられますし、「仕事の理解度」の深いと
考えられます。

もっと発展させると、「責任性」や「規律性」、「協調性」も
高いだろうと考えることもできます。

しかし、これらの論理的なつながりは、あくまで「推測」であり、
実際にそうであるかは、部下の職務行動を細かに観察して、
事実を拾い集めなければ分かりません。

あるいは、「責任性」「積極性」などの情意項目を
「彼(女)は一生懸命だから、責任感もあるし積極的だ」のように
項目の意味を十分に理解していない場合は評価を間違います。


このように、評価項目を論理的につなげて評価してしまったり、
評価項目の定義を間違えて評価することを「論理的誤差」と言います。

「論理的誤差」とは簡単に言うと、
評価項目についての「考え過ぎ」や「定義の理解不足」によって、
事実に基づかない評価をしてしまうことです。


「論理的誤差」の一般的な防止策としては、

1.「だろう」という感覚で評価を行なうのではなく、
  部下の職務行動を十分に観察し、根拠を持って評価を行なう。

2.評価項目の意味を十分に理解しておく。



私の経験では、この論理的誤差は頻繁に見受けられます。

私は、人が人を評価するということには限界があると思っています。
いくら客観的で公平な評価をしようとしても主観は入るものです。


人事評価が本当に効果を発揮するのは、
会社のビジョンと社員さまのキャリアが共に実現するための
評価項目になっているときです。

つまり、評価者である上司が「なぜこの評価項目が必要なのか」を
深く理解している必要があります。

このような状態をつくる最も効果的な方法は、
評価者自身が会社のビジョンや社員さまのキャリアを考慮しつつ、
評価項目を作成することです。

私が人事制度のコンサルティングをさせていただく際には、
経営陣や管理職とともにプロジェクトチームを立ち上げます。

そして、全員のコンセンサスを取りながら、評価項目を検討します。

そうでなければ、評価項目の定義を評価者の間で共有することは
かなり難しくなります。

この方法は、とても時間がかかり、労力も必要となりますが、
会社と社員さまの成長には欠かせないプロセスだと考えています。

論理的誤差の解説とは少しズレましたが、
やはり本当に効果のある評価制度は時間をかけないと出来ないのです。


次回は「対比誤差」という評価エラーについて扱います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年8月24日

中心化傾向と分散化傾向

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回に引き続き、代表的な評価エラーのうち、
今回は「中心化傾向」と「分散化傾向」について扱っていきます。



「人が人を評価する」ということは、大変難しいことです。



評価される部下にもストレスがかかりますが、
評価する上司にも心理的なプレッシャーがかかってきます。

なぜなら、上司が部下を評価するという場面では、
部下のうまくいっていない部分については「低い評価」を
与えなければならないからです。


その時、部下が低い評価を前向きに捉えられれば良いのですが、
人によっては落ち込んだり、あるいは上司に反発することもあります。

どちらにしても、上司と部下の間に摩擦が生じることがあります。


上司がその摩擦を回避しようと「事なかれ意識」で評価をすると、
評価結果が真ん中に集まることがあります。

これが、「中心化傾向」と呼ばれる評価エラーです。



「中心化傾向」が起こる原因として、


1.評価に差をつけることへの「ためらい」

  → 評価に差をつけることで生じる、上司と部下の摩擦を
    上司側が嫌って、低く評価すべき部分も真ん中につけてしまう。


2.被評価者(部下)に対する「観察不足」

  → 部下のことを日ごろから観察していないので、
    根拠を持って評価ができない。


3.評価者(上司)の「自信のなさ」

  → 上司が自分の能力に自信がなく、厳しい評価ができなかったり、
    部下の長所を素直に認められない。




「中心化傾向」の防止策としては、


1.部下の成長を真剣に願い、「部下育成のための評価」という
  意識を持つ。


2.日ごろから部下の職務態度、遂行状況、成果などについて
  具体的な事実をメモにとっておき、「根拠」に基づいて評価する。


3.日ごろから部下との信頼関係を構築しておく。



「中心化傾向」とは逆に、評価が両極に分散してしまう傾向を
「分散化傾向」と呼びます。

「分散化傾向」も中心化傾向と同様に、
「部下育成のための評価」という意識を持って評価することや、
「根拠」に基づいて評価することで防ぐことができます。


いずれにしても、上司が、自らの評価をする時の傾向について
しっかりと認識しておくことが大切です。


では、次回は「論理的誤差」について扱います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年8月 2日

寛大化傾向と厳格化傾向

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回に引き続き、代表的な評価エラーのうち、
今回は「寛大化傾向」と「厳格化傾向」について扱っていきます。



「人が人を評価する」ということは、大変難しいことです。


好き嫌いという感情もありますし、
部下の言動を片時も離れずに観察することなど不可能です。

特に、「積極性」や「責任性」などの『情意考課』は、
上司の主観で評価するしかない部分もあります。


その時に、上司の性格によって、
過度に甘い評価になる場合は、逆に過度に厳しくなるという
ことも生じてしまいます。


過度に甘い評価になる場合を「寛大化傾向」、

過度に厳しい評価になる場合を「厳格化傾向」と呼びます。



「寛大化傾向」と「厳格化傾向」が起こる原因としては、


1.評価基準に対する認識が間違っている

 → 会社としての期待レベルで評価をするのではなく、
   上司が自分の尺度で評価をしてしまっている。


2.部下に対する感情で評価をしている

 → 職務行動による評価ではなく、好き嫌いなどの感情で
   評価をしてしまっている。


3.上司に自信がない、あるいは自信過剰になっている

 → スキル不足などによって上司に自信がないと
   評価が甘くなりがち。

   逆に、自信過剰だと厳しくなりがちである。



これらの防止策としては、


1.会社の期待レベルを基準として評価を行なう

 → 評価者訓練などによって、評価者の間にある基準のズレを
   修正し、会社の期待レベルで評価できるようにする。


2.部下の職務行動をよく観察して、根拠のある評価を行なう
   
 → 「是は是、非は非」と自信を持って評価するためには
   根拠が必要。日ごろから部下の仕事ぶりを観察しておく。


3.上司としての自分の仕事ぶりを客観的に振り返る

 → 部下を適切に評価するには、まず自分自身を適切に評価し、
   上司としての自分を磨く必要がある。



人事評価というのは、評価面談のときに行なうのではなく、
日常から意識を向けておく必要があるのです。

また、部下を適切に評価するためには、
上司自身が自分のことを適切に評価できている必要があります。


しかし、いくら評価者訓練などで評価スキルを上げようとしても、
完全に客観的な評価を行なうことは不可能です。

そのために、私がお勧めしているのは「360度評価制度」です。


主観的な評価が多数集まれば、より客観に近づけることができます。

上司一人の評価ではなく、部下や自部門の同僚、他部門の同僚から
広く評価を受けることで、より自分自身の課題が浮き彫りになります。

特に主観になりやすい「情意考課」については、360度評価制度は
非常に効果的です。


ただし、360度評価制度の結果をもって処遇を決定するのは、
あまりお勧めできることではありません。

360度評価の結果を処遇に連動させてしまうと、
せっかくの自己成長のために情報も素直に受け入れられなくなります。

私がかねてから「評価と給与の分離」を提唱している一つの理由が
このことです。

評価と給与が連動していると、評価結果を素直に反省できなくなります。

ですから、360度評価制度の位置づけは、
純粋に成長のためのフィードバックとして考えるべきだと思います。


話が少しそれましたが、完全な客観的評価が不可能だといって、
上司が評価スキルを持たなくて良いということではありません。

人事評価制度がなかったとしても、
部下を観る眼(評価スキル)は部下育成には欠かせないものです。

また、人をできる限り主観を排して客観的に観るスキルというのは、
仕事だけではなく子育てのなかでも活きてきます。

これらの意味で、評価制度は処遇のためではなく、
上司と部下双方の成長のために行なうことが大切なポイントです。


次回は「中心化傾向(分散化傾向)」について扱います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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