人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2012年12月27日

自律的人材を育てる前提条件

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回まで、社員に自律的人材に成長してもらうことが、
本当に社員を大切にすることだとお伝えし、

自律的人材を育成する要素である「4T+M」を述べてきました。

しかし、「4T+M」の自律性を伸ばす仕組みよりも
もっと大切なことは、会社が社員をどのように考えるか、です。


社員をパートナーとして信頼するか、
あるいは、単なる利益を生む道具として考えるか、によって、

仮に同じ施策をとったとしても、その伝わり方が違ってきます。


社員を信じて成功している企業として、
以前にご紹介した靴のネット通販会社「ザッポス」があります。

CEOのトニー・シェイ氏の言葉を再掲します。


 
  ほとんどのコール・センターは、
  業界用語でいう「平均処理時間」を基準に
  オペレーターの業績を評価していますが、

  これは、1日に各オペレーターが
  何件の電話に応対できるかに焦点を当てています。


  言い換えると、
  オペレーターはどれだけ早く顧客の電話を切れるかを
  気にすることになり、

  私たちからすれば
  素晴らしいカスタマー・サービスを提供しているようには
  思えません。


  また、マニュアル原稿を用意したり、売上を増やすために
  アップセル(より高額な商品へ誘導すること)をオペレーターに
  強要したりするコール・センターも少なくありません。

 
  ザッポスでは、電話にかけた時間を計っていません。
  (これまでの最長時間は約6時間でした!)

  また、こちらからアップセルをすることもありません。
 
  (中略)

  私たちにはマニュアル原稿がありません。

  どんな顧客に対応する際も、
  ザッポスの社員は常に最善の判断をしてくれると
  信じているからです。

  (中略)

  電話でのやり取りでは いつもオペレーター各自が
  自分本来のパーソナリティを発揮してほしいと願っています。


        「ザッポス伝説(ダイヤモンド社)」より引用



また、「日本一楽しい会社を作りたい」という経営をしている
中里スプリング製作所という会社が群馬県にあります。

社員数約20名の中小企業ですが、
「社員に好きなことをやってもらう」というポリシーを
徹底して貫いています。


その例として、同社には「ご褒美制度」という制度があり、
1年間で一番頑張った社員に「ご褒美」を与えます。


そのご褒美とは、

1.会社の設備と材料を作業時間内に好きなだけ使って、
  好きなものを作っていい権利

2.嫌な顧客1社との取引をやめてもよい権利


この施策も、社員への信頼なくして出来ることではありません。


少し話はズレますが、

現時点で成功している企業として事例に取り上げられていても、
永遠に成功し続けられる企業はありません。

コリンズの『ビジョナリーカンパニー』で取り上げられた企業も
苦境に立たされている会社がたくさんあります。

つまり、企業経営には「これさえ実践すれば成功する」という
唯一絶対の正解など無いということです。


社員を大切にする経営スタイルも同様です。

社員を大切にした経営施策を行なったからといって、
100%の確率で業績が上がるかというと、そうではありません。

しかし、逆のことは言えると思います。

「社員を大切にしない」「ビジョンがない」という経営では、
成功することはありません。

業界そのものが成長段階にあり、
ある程度の努力をすれば"そこそこ"の業績が残せる場合でも、
そのような状況は長く続きません。

原理原則にそった企業の方が、
長期的な視点で見ると、生き残る「可能性」は高くなります。


さて、話は戻りますが、

ザッポスも中里スプリング製作所も、
社員を大切にするという価値観を示すだけではなく、

「言行が一致している」ことが見逃せない点です。

いくら口では良いことを言っても、
実際の行動が伴っていなければ、まったく意味がありません。


会社が社員を信じずに、コントロールしようと考えていると、
社員も会社を信じることはなく、自分の力を出し惜しみします。

それとは逆に、会社が社員を信じて、自主性を重んじていると、
社員も会社を信じて、最大限の努力をするようになります。


当たり前すぎるぐらいに当たり前のことなのですが、
実際は社員をコントロールしようとする会社が多いようです。

そして、「当社の社員はモチベーションが低い」と言うのは、
あまりに自分勝手と言わざるを得ません。


まずは、社員が会社を信頼するに足る「誠実さ」を示すことが、
全ての出発点となるのです。

そのうえで、「4T+M」の施策を行なうことによって、
社員が成長し、結果として会社のパフォーマンスも上がるのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年12月19日

「予算」の権限を与える

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。

前回は、自律的人材を育てるための要素、「4T+M」のなかの
「Team」について扱いました。

今回は「4T+M」のなかの「Money」について扱います。


社員さまが仕事の充実感、達成感を味わおうとするならば、
自分が「責任者」であるという自覚が必要です。

そういう自覚があったときに初めて、
成功したときに心から喜べ、失敗したときに素直に反省でき、
自律的人材への成長できるのです。

これまで説明してきた「4T+M」は、
社員さまに「責任者」としての自覚を促す重要な要素となります。


最後の「Money」は、「予算」のことです。


何をするにしても、「お金」が必要です。

したがって、「予算」の権限を与えずして、
社員さまが仕事の成果をつくることは、極めて難しいことです。

しかし、多くの企業さまでは、
「責任」はあるが「権限」はない、というケースが起こっています。

このような状況では、社員さまは実力を発揮することができず、
仕事へのモチベーションも下がり、成果もつくれません。


だからと言って、単に「予算」の権限を与えれば良い、
というものでもありません。

会社の方向性にそった戦略を立案し、予算を含めた実行計画が
承認されてはじめて、予算の権限を与えるべきです。

つまり、「予算」に関しての自律性を認めるためには、
その社員さまが経営者のスキルを持っていることが条件となります。


それと同時に、会社としてもしっかりとした経営計画を
策定することが求められます。

現場を巻き込んで経営計画を作りこむことによって、
社内の資源をどのように配分するかが決まっていくからです。


このように、「4T+M」を通して自律的人材を育成することは、
「経営者」を育成することに他なりません。


すべての人は本来、自分の人生を経営している「経営者」です。

例えば、会社における「予算」をマネジメントするスキルは、
人生における「家計」をマネジメントすることにつながります。

社員さまに経営的スキルを身につけていただくことが、
社員さまの人生をより豊かにすることにつながるのです。


また、会社内に経営的視点を持った人材が増えることで、
今まで隠れていた社内の問題点、課題点を抽出することができ、
迅速な改善策を打てるようになります。

それによって、会社のパフォーマンスも向上します。


自律的人材の育成は、会社にとっても、社員さまの人生にとっても、
大いにプラスに働くことなのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年12月12日

「誰と一緒に仕事をするのか」を社員さまの自主性に任せる

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。

前回は、自律的人材を育てるための要素、「4T+M」のなかの
「Task」について扱いました。

今回は「4T+M」のなかの「Team」について扱います。


チームに関しての自律性と言うと、
まず思い浮かぶのは、採用や異動などの人事権でしょう。


人事に関する権限というのは、

組織に属する者にとって極めて大きい権力ですし、
非常に長期にわたって会社の業績に影響を与えますので、

しかるべき人が持たなければ、会社は崩壊します。


しかし、社員さまの側に立ってみると、
「誰と一緒に仕事をするのか」「どの部署で仕事をするのか」を
選べないということは、かなり自由を制限されていると感じます。

ですので、「Team」についても、段階的に自律性を与えることが
大切になってきます。



まず、比較的簡単に導入できるのは、

「Time」のところで述べた「20%ルール」の時間内であれば、
誰と組んで仕事を進めても良いとすることです。


これでしたら、公式な組織には影響せず、
社員さまに「Team」の自律性を与えることができます。



また、社内のプロジェクトを立ち上げるときなどは、

プロジェクト参加を公募する制度を設け、
リーダーがメンバーを選ぶ権利を与えるのも有効な施策です。


一定の条件を満たした社員さまには、

フリーエージェント制で自由に部署を異動できる権利を
与える方法もあります。


また、上司を選ぶという点においては、

役職任期制を設けて、役職を定期的に選挙で決めるという
方法もあります。


独立支援制度やのれん分け制度といったものも、
視点を変えれば「Team」に関する自律を促進するものです。



このように、人事権という強力な権力に関しても、
限定的に社員さまの自律性に任せる方法はいくつもあります。


次回は、「4T+M」のなかの「Money」について扱っていきます。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2012年12月 6日

対話によって目標管理を行なう

いつもありがとうございます! 生きがいラボの福留です。


前回は、自律的人材を育てるための要素、「4T+M」のなかの
「Technique」について扱いました。


今回は「4T+M」のなかの「Task」について扱います。



「Task(課題)」、つまり、「何を行なうか」について
社員さまが自分で決められる裁量を委譲していくということは、

会社にとっては、とても大きな決断になると思います。


なぜなら、会社が社員さまに与える仕事というのは、
事業戦略の達成のために細分化された一部分ですので、

本来ならば、どれ一つ欠けても戦略は達成できなくなるからです。


また、全体的な思考、戦略的な思考が備わっていなければ、
自分の好きなことばかり行なって、組織としての相乗効果が
得られないという事態にもなりかねません。


しかし、皆さんもご経験があるかと思いますが、
自分がすることを自分で決められないという状況は、
苦痛以外の何ものでもありません。

社員さまのモチベーションを高めるためには、
「Task」についても自律を進めていく必要があるのです。


また、指示命令によって行なっている仕事からは、
創造的な発想や心のこもったサービスは生まれてきません。

結果的には、「Task」の自律を進めることによって、
会社のパフォーマンスも高めることにつながっていくのです。



社員さまに「何を行なうか」を任せていくプロセスには、
主に2つのパターンがあります。




1.勤務時間の一部を、自分が選んだ仕事に充てられるようにする


 有名な例としては、スリーエムの「15%ルール」や
 グーグルの「20%ルール」があります。

 スリーエムやグーグルでは、勤務時間の一定時間を
 自分が選んだプロジェクトに充ててよいというルールがあります。

 この時間は、上司も介入することはできません。

 
 自分で選んだプロジェクトですから、当然 やる気も高まりますし、
 創造性や革新的なアイデアも生まれてきます。

 スリーエムの「ポスト・イット」や、
 グーグルの「グーグル・ニュース」や「Gメール」などは、
 この自由な時間のなかで生まれたものです。

 
 よく「プロジェクトがうまく進まない」というお声も聞きますが、
 既存の仕事に追われていたり、上司や同僚の理解がないケースが
 ほとんどです。

 スリーエムやグーグルのように、勤務時間の一定時間について
 社員さまがしたい仕事をするようなルールを明確にすることが、
 新規事業の開発などでは不可欠になります。

 


2.対話型目標管理によって、徐々に裁量を大きくしていく


 「何を行なうか」について任せようとすれば、
 社員さまに全体的な思考や戦略的な思考を身につけていただくことが
 必要不可欠になります。

 ですので、目標管理によってそのような思考を育成しながら、
 自律性を伸ばしていこうというのが「対話型目標管理」です。


 「誰が目標設定するのか」と「誰が結果を評価するのか」の
 2軸で目標管理を類型化すると以下のようになります。


 (1)ノルマ型目標管理

    → 上司が目標設定し、上司が結果を評価する


 (2)自己採点型目標管理

    → 上司が目標設定し、部下本人が結果を評価する


 (3)フィードバック型目標管理

    → 部下本人が目標設定し、上司が結果を評価する


 (4)自律型目標管理

    → 部下本人が目標設定し、部下本人が結果を評価する



 「対話型目標管理」は、これら4つの象限の中心に位置し、
 目標設定も結果の評価も「対話」のなかで行ないます。


 上司と部下がお互いをパートナーとして尊重し合い、
 対話を通して納得したうえで目標管理を進めることによって、

 徐々に部下の裁量を大きくしていくのです。

 
 目標を「大目標」「中目標」「小目標」のように細分化し、
 まずは社員様が「小目標」を自分で立てられるように育成し、

 つぎは「中目標」、つぎは「大目標」というように、
 成長に合わせて社員様の裁量を大きくしていけるのです。
 



この2パターンに共通して言えることは、
経営者さまの「社員さまを信じる力」が問われるということです。

「任せたら怠けるんじゃないか?」と考えているうちは、
いくらルールや制度をつくっても、まったくの無意味です。

社員さまを疑いの目で見れば、社員さまもそれだけの働きしかしません。


社員さまを信じ切るところからスタートし、
成長に合わせて任せていくというプロセスが大事なのです。



次回は、「4T+M」のなかの「Team」について扱っていきます。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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