人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2013年2月27日

目標管理制度がうまく機能しない理由

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。

き続き、社員を尊重する人事施策について考えていきます。
今回は特に、「目標管理制度」について考えます。


労務行政研究所の調査によると、
7割以上の企業が採用し、広く普及している目標管理制度。

しかし、目標管理制度が効果的に機能しているという企業は
かなり限られてきます。


目標管理制度の問題点として一般的に挙げられるのは、

1.達成度を上げるために、達成しやすい目標を設定する。
2.短期的な成果ばかりを追うようになる。
3.目標設定しづらい部門や職種がある。


私が考えるこれらの問題の原因は、目標管理制度が
社員を「コントロール」する目的でつくられていることです。


つまり、経営目標からブレイクダウンした目標を「押し付け」、
上司が目標と実績によって「管理」することで、

社員に望ましい行動をとらせようとしているのです。


人は押し付けられることを嫌います。

自分が目標設定する余地がないことで、押し付けられた感覚を
持ってしまうのです。


これは社員が悪いのではありません。人間のメカニズムです。

特に、入社して数年たち、実力がついてきた社員にとっては、
「自分の考えたようにやってみたい」という欲求を抑圧する
ことになってしまいます。

人は「変わりたい」欲求はありますが、「変えられたい」とは
思っていないのです。


ですので、本当に社員を尊重していくのであれば、
上司と部下の話し合いによって目標項目や達成基準を設定する
「対話型」の目標管理制度を採用する必要があります。

そのなかでは、社員一人ひとりの個別事情を考慮したうえで、
社員と会社の方向性の一致点を探っていきます。


理想を言えば、

社員の「したい」と会社の「して欲しい」が一致すれば、
社員にとっても会社にとっても最高の状態です。

しかし、なかなかそうはいきません。だから「対話」なのです。


お互いの立場や事情の違いを、対話によって相互に理解を深め、
お互いに納得できる点を協力して探していくのです。

これは、時間がかかります。

しかし、時間がかかる分、
本当に会社と社員がパートナーとなれる関係が築けるのです。


この「対話型」目標管理制度は、
上司の人間性やスキルが今まで以上に問われる制度です。

上司が、部下の意見や立場を尊重し、
一人の人間として向き合う姿勢がなければ、うまくいきません。


しかし、上司の側でも、部下とパートナー関係を築き、
本当の意味で苦楽をともにできたときに初めて、

部下指導の本当の「喜び」や「充実感」を得ることができます。


「対話型」目標管理制度は、上司にとっても、部下にとっても、
仕事本来の喜びを感じられる制度なのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年2月21日

トップの誠実さが建設的な社風をつくる

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、社員と共にビジョンをつくることが
社員のモチベーションアップにつながるとお伝えしました。


今回は、その補足になりますが、

会社の方向性についての議論を社員と行なおうとすると、
必ず出てくるのが「会社への不満」です。


経営者のなかには、

社員に意見を聞くと、不満も引き出してしまうので、
あまり意見を聞かない方が良い とおっしゃる方もいます。


しかし、真実は全くの逆です。


会社への不満というのは、放っておくとますます膨れ上がり、
会社への「不信感」に変わっていくのです、

不信感へと変わってしまうと、不満も言ってくれなくなります。

そして、最低限の仕事を最小の労力でこなそうという意識で
仕事をするようになってしまうのです。

ですので、社員の不満に対して、誠実に向き合う姿勢が
必要となります。


社員の不満のなかには、
労働時間や休日、給料、経営施策、トップのリーダーシップなど、
経営者にとって耳の痛い項目もあります。

経営者にとっては、
「自分が一番会社のことを考えているのに」という思いがあり、
受け入れづらいというのも分かります。

しかし、社員の声と誠実に向き合っていかない限り、
本当に良い会社にはなりません。


私の経験上、社員が本当に不満に思っているのは、
労働時間や給料、施策、リーダーシップなどの現象面ではなくて、

現場の社員が困っていることに目を向けようともしない
「会社の姿勢」に対して不満を持っています。

つまり、自分たちの存在を軽視されていることが不満なのであり、
労働時間や給料などへの不満は副次的なものなのです。


社員と共に良い会社を築いていこうとするのであれば、

社員を尊重し、社員の不満にも真摯に耳を傾け、
その解決に誠実に取り組んでいくことが必要となるのです。

その経営姿勢が社員の共感を生み、
社員から建設的な意見が出る社風をつくりだしていくのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年2月14日

経営者のビジョンも「個人ビジョン」の一つに過ぎない

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


今回から、社員を尊重する人事施策について扱っていきます。

経営者が、心から社員をパートナーだと考えているのであれば、
まず最初にすることは、「行き先を一緒に決める」ことです。

つまり、社員と一緒に「ビジョン」を設定することです。


多くの経営者は、「ビジョンはトップが決めるもの」という
固定観念を持っておられます。

もちろん、それが間違いだとは思いませんが、
それでは「会社は自分のもの」と宣言しているようなものです。

社員の意識の中に「雇われている」という意識が強く染みつき、
「自分の会社」だとは思えなくなります。

ビジョンをトップが一人で決めている限り、
社員に積極的・自発的な仕事を求めることは無理があります。


ピーター・センゲの「最強組織の法則」に、

 企業において、共有ビジョンは社員と会社との関係を変化させる。
 もはや「彼らの会社」ではなく「われわれの会社」となる。

とありますが、社員を尊重する人事政策をとるのは、
まず前提として「ビジョンの共有」が必要であり、

ビジョンを共有するには「一緒につくる」ことが最も近道です。


ビジョンを共有することは一朝一夕ではできません。

ビジョンを共有する出発点は、社員の人生を尊重し、
社員が個人としてのビジョンを描くことを応援することが必要です。

共有されたビジョンは、社員それぞれの個人的ビジョンが結びつき、
まるで化学反応を起こすかのように生まれてくるのです。


このときに、注意するポイントが3点あります。


1つは、社員にビジョンをつくることを強制はできない、
ということです。

社員のなかには、受け身の姿勢が習慣化されてしまって、
自分のビジョンを明確に描けない方も出てこられると思います。

そのときに、「ビジョンをつくれ!」と強制したのでは、
心から動機づけられるビジョンが湧いてくるはずがありません。

逆に、受け身の姿勢を強化してしまいます。

社員の自由を侵害しないように細心の注意を払い、
自由に自分の人生を設計できる雰囲気を作り出すことです。

あくまでも、社員がビジョンを描く「応援」なのです。


2つ目が、経営トップのビジョンも「個人的なビジョン」の
一つに過ぎないという認識を持つことです。

多くの場合、経営者は自分のビジョンが会社のビジョンだと
考えます。

それが間違いというわけではありませんが、
その意識を持っていると社員がビジョンを描けないのです。

もし、社員が自分のビジョンの方向に進みたいと考えるならば、
退職するしか道がなくなってしまうのです。

かと言って、経営トップが、ビジョンを社員に伝えることは、
最も大切な仕事の一つであることに変わりはありません。

要は、自分のビジョンが「個人的なビジョン」の一つだと認識し、
社員が共感し、協力したくなるように伝えていくことが
大切なのです。

間違っても、

 この会社にいるのだから、自分のビジョンに協力するのは
 当たり前のことだ!

と思わないことです。

経営トップのビジョンを基礎にして、
社員がビジョンを描けるような土壌をつくることが必要です。


3つ目が、ビジョンの多様性を受け入れるということです。

ビジョンを話題にすることで、さまざまな考え方の違いが
明らかになっていきます。

時には、対立する考え方を持つグループが現れたりします。
例えば、「顧客満足が先か、社員満足が先か」というように。

その時に、対話をあきらめたり、批判し合ったりしていては、
永遠にビジョンは共有されません。

お互いの違いはどこから来ているのかと「探求」し、
「本当に私たちが求めるものは何なのか」を自問することが
大切です。

自分と違う考え方に耳を傾け続ける努力が必要となるのです。


このようにして、社員との根気強い「対話」を通して、
個人個人のビジョンから「共有ビジョン」を築いていくのです。

非常に時間のかかる仕事ですので、
トップダウンの方が手っ取り早いと考える方もおられます。

しかし、トップダウンで行なうのであれば、
社員と本当の信頼関係を築くことはあきらめてください。

経営者として、会社のために命を削って頑張って、
ふと後ろを振り返ってみれば誰も付いてきていなかったという
そんな人生を望んでいる方がいるでしょうか。

一時的な感情に流されず、
経営者としての自分がどんな人生を歩んでいきたいかを
真剣に考えていく必要があると思います。


このように、社員を尊重する第一歩としては、

トップが、会社を「自分のもの」ではなく「社会の公器」だと
心の底から思えるようになることが必要となります。

その意識が、社員だけではなく、経営者自身の人生を豊かに
してくれると思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年2月 7日

金銭的報酬が有効に働くケース

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


今回から、社員を大切に考える経営者の「想い」が伝わる
人事施策について考えていきたいと思います。

まず今回は、全ての基礎となる考え方をご紹介します。


社員のモチベーションを上げる人事施策を実施するとき、

「望ましい行動」に対して「金銭的報酬」を与えるという施策が
しばしば見受けられます。


成果主義人事制度がその典型ですが、もっと細かい例で言うと、

社員さまからの改善提案を増やしていきたい場合に、
「改善提案をしたら(採用されたら)○○円」という制度を
設ける企業もあります。

金銭的報酬によって「望ましい行動」をさせようとするのは、
結論から言うと、ほとんどの場合が逆効果になります。


会社は「頑張りに報いたい」という純粋な気持ちだったとしても、
多くの場合、社員は「コントロールされている」という印象を
持っています。

これは、創造性が必要な業務にたずさわる社員になるほど、
顕著に現れます。

金銭的報酬を見せられることで、仕事そのものへの関心や、
仕事に対するプライドが損なわれてしまうのです。


もちろん例外もあり、金銭的報酬が有効に働くケースもあります。


そのようなケースが起きる条件とは、

1.会社と社員の間に信頼関係が構築されているとき
2.社員が「思いがけない報酬」だと感じたとき
3.担当する業務が苦痛を伴うとき


1番目については、もし会社と社員の間に信頼関係がなければ、
金銭的報酬によって社員は「会社に支配されている」と感じます。


2番目の「思いがけない報酬」の逆は「条件付き報酬」です。

「○○したらご褒美(あるいは罰)を与えるよ」という報酬が
条件付き報酬です。

この条件付き報酬によって、社員の目は仕事そのものではなく、
金銭的報酬に向いてしまいます。

そして、仕事への関心が薄れ、仕事が楽しくなくなるのです。
その結果、当然ながらパフォーマンスも低下します。

しかし、頑張った結果として「思いがけず」報酬を与えられたとき、
それは頑張りへの承認であると素直に受け入れることができます。

金銭的報酬を、いかにして「思いがけない報酬」になるように
演出することがとても重要になります。


3番目に関して、単調なルーチン作業などの苦痛(飽き)を伴う場合、
金銭的報酬はその苦痛を軽減します。

しかし、創造性が必要な仕事では、金銭的報酬は創造性を妨げます。


これらのことは、心理学などの研究によって実証されていますが、
金銭的報酬での動機づけは、それほど難しいものなのです。


したがって、社員を大切に想っていて、
社員がイキイキと働ける職場環境をつくろうとするのであれば、

「金銭的報酬に頼らない」というのが基本原則です。


言い方は悪いですが、「お金で釣る」というのは、
社員の存在価値を尊重していない施策として受け取れらます。


「金銭的報酬」という安易な方法に頼らず、
どうすれば社員を「尊重」できるかを考え続けていくことが、

社員のためにもなりますし、結果的に会社のためにもなります。


次回からは、社員を尊重する人事施策について扱っていきます。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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