人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2013年4月30日

逆発想の人事制度の3つのポイント

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、従来の人事制度の根本原理である「アメとムチ」を捨て、
逆発想で人事制度を考えるべきだとお伝えしました。


では、逆発想の人事制度とは、具体的にはどういうものかと言えば、
その主要ポイントは以下の3つです。


1.等級制度をなくす

2.評価と給与を分離する

3.キャリア開発制度を中心に据える


実際には普通の人事制度と違う点はまだあるのですが、
この3つだけでも人事コンサルタントや人事担当者が聴けば
驚く内容だと思います。

事実、私がお話したほとんどの人事コンサルタントや人事担当者は
非常に驚かれます。

なぜなら、人事に携わる者にとって、
人事制度に等級制度があるのは当然のことですし、評価をいかに
給与に連動させるかに今まで苦心してきたからです。

また、キャリア開発制度を福利厚生的に考えている
人事コンサルタントや人事担当者もいらっしゃいます。


この3つのポイントはすべて、

「アメとムチではモチベーションは向上しない」
「人が人を評価することには限界がある」

という設計コンセプトによって必然的に導き出された結論です。


まずは、1番目の『等級制度をなくす』についてです。


等級制度の基本知識を簡単に押さえておきますと、

等級制度にはさまざまな呼び方があり、
どのような基準で社員を格付けするかによって、
「職能資格制度」「職務等級制度」「役割等級制度」などのように
区分されます。

しかし、社員の格付け制度であることには変わりありません。

ここでは一定の基準で社員を格付けする制度のことを総称して
「等級制度」と呼びます。


社員を格付けする基準には、
職務遂行能力やコンピテンシー、役割、責任、職務などがあり、
その難易度や貢献度によって社員を格付けします。

そして、その格付けされた等級によって、給与水準や昇給ピッチが
決定されます。

また、それぞれの等級には役職が連動されていて、
役職に就くには対応する等級に属していることが必要条件となります。

等級が上位になることを「昇格」、役職が上位になることを「昇進」と
呼びます。


等級制度の大きなねらいは、

1.登用や異動などの人事処遇の意思決定の合理性・納得性を高める

2.昇格(昇進、昇給)を刺激剤として社員のやる気向上を図る

ということです。


確かに一見すると、等級制度を適切に構築・運用すれば、
このねらい通りになるように感じられます。

等級制度の仕組みから言えば、

ある役職に社員を登用する際に、対応する等級に属する社員から
人選することで、実力に見合った登用ができるはずです。

一方で、社員の意識としては、昇格して多くの給料を得るために、
あるいはより高い役職に就く可能性を広げるために、
昇格基準を満たそうと自己研鑽に励むはずです。

非常に理に適っているように感じられます。


しかし、多くの企業では、ねらい通りの効果を得られていません。


次回は、その原因を探っていきましょう。

          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年4月25日

人事制度の新しい考え方

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。

前回は、従来の人事制度の根本に流れる「アメとムチ」の考え方を
変える必要があるとお伝えしました。


やっかいなのは、「アメとムチ」の考え方は一見 理に適っていて
期待通りの効果があるように思えてしまうことです。

直感的には、人間が「アメ」を欲しがり、また「ムチ」を嫌がり、
望ましい行動を取る意思決定を行なうように感じられます。

したがって、これまでの人事コンサルタントや人事担当者は、
給与制度による「アメとムチ」の合理性を担保するために、

等級制度や評価制度にさまざまな工夫を凝らし、その結果として
人事制度を複雑化させていきました。


しかし、人事コンサルタントや人事担当者が信じて疑わなかった
人事制度の根本原理そのものが間違っていたとしたら・・・。

人事コンサルタントや人事担当者が工夫すればするほど
逆に人事制度は期待された効果(社員のモチベーション向上)を
果たさなくなっていきます。


そして私は、人事制度の根本原理「アメとムチ」には限界がある
と考えています。


その限界とは、

人間は「アメとムチ」ではモチベーションが上がらないという
シンプルな事実です。

学術的なことはエドワード・デシやミハイ・チクセントミハイ
などの学者の論に譲りますが、

「アメとムチ」による管理は人間のモチベーションを下げ、
(創造性を必要とする活動の)パフォーマンスを低下させます。


よく考えてみてください。

鼻先にニンジンをぶら下げられた馬のように、
褒美をチラつかされてモチベーションが上がるでしょうか?

失敗すると罰せられる仕事に、充実感を感じるでしょうか?


このことは、体験を通しても実感できると思います。


近年は成果主義人事制度の失敗を踏まえて、

「人材育成のための人事制度」や
「働きがいをつくるための人事制度」などのように、

人事制度に新たな意味を持たせる取り組みも見られます。


しかし、いくら「人材育成のため」「働きがいのため」と
謳ったとしても、人事制度の構造そのものは変わっておらず、
根本原理を踏襲したものになっています。

等級制度で格付けし、評価制度で点数をつけ、
給与制度で値段をつける、という基本構造がそのままでは、
いくらお題目を変えたとしてもまったく意味はありません。


もう一つ、人事制度は致命的な欠陥を抱えています。

それは「人が人を評価することの限界」に由来します。


給与制度の合理性・妥当性を担保するためには、
社員を"正しく"格付けし、"正しく"点数を付けることが
必要となりますが、

これを担う等級制度と評価制度をどこまで精緻に設計しても、
人を"正しく"格付けし、"正しく"点数を付けることなどは
不可能です。


不可能なことを無理やりに実現しようとすると、
人事制度は運用が困難なほどに複雑怪奇になっていきます。

しかし、どれだけ制度を複雑にしたとしても、
「正しい格付け」や「正しい点数化」までには至りません。


それとは逆に、

運用を重視してシンプルな等級制度・評価制度にしたとしても、
基本構造がそのままでは社員のごく一部分の活動だけを評価する
非常に偏った人事制度になり、合理性・妥当性を欠きます。


つまり、根本原理を変えない限り、何をやってもダメなのです。


ここまでお読みになると、

「どのような人事制度にするべきなのか?」という疑問を
持たれると思います。


これから提案する人事制度を理解しようとすると、
まず、今まで信じられてきた「アメとムチ」の根本原理による
固定観念を捨てる必要があります。

そして、

「アメとムチではモチベーションは向上しない」
「人が人を評価することには限界がある」

という設計コンセプトによって、人事制度を構築することが
求められます。


つまり、今までとは全く逆の発想で人事制度を構築する必要が
あるのです。

次回は、逆発想の人事制度の3つの主要ポントをお伝えします。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年4月18日

人事制度の常識を根本から見直そう!

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


私はかなり以前から、人事制度のコンサルティングに携わりながら、
ある疑問を持ち続けていました。


それは...

「なぜ 人事制度の多くが 社員さんのやる気向上に貢献しないのか?」

という疑問でした。


私がその疑問を持つようになったきっかけは、あまりにも
「せっかく人事制度を作ったのに社員のやる気が上がっていない」
というご相談が多かったからです。

有名なコンサルティングファームに高額の報酬を支払い、
なおかつ人事担当者も努力して作った人事制度でありながら、
効果がない、あるいは逆に社員のやる気が下がったというのです。


ご相談があった企業にその人事制度を見せていただくと、
それらの人事制度のほとんどは、人事コンサルタントの私から見ても
セオリー通りに作られた「よくできた人事制度」でした。

その「よくできた人事制度」が、
やる気向上という期待された効果をあげていないというケースに
数多く出会いました。

あるいは、その中にはまったく運用されていない企業もありました。


これに対して、人事コンサルタントや人事担当者のほとんどは
次のような言い訳をします。

「企業に運用するだけの実力が備わっていない」
「企業側に運用する努力が足りない」
「現場の理解力がない」


私も以前は、恥ずかしながらそう考えていた時期もありましたが、
現在は違う考えを持っています。


結論を言うと、

「人事制度の根本に流れる原理(考え方)そのものが間違っている」

というのが私の考えです。


根本原理から間違っているから、
人事コンサルタントや人事担当者が「よくできた人事制度」を作った
としても期待される効果がないのです。

さらに言うと、皮肉なことですが、

人事コンサルタントや人事担当者が力を入れて人事制度を作り込めば
作り込むほど、人事制度は社員さんのモチベーションを奪っていき、

複雑になることで運用も難しくなっていきます。


人事制度は、その根本原理から見直す必要があるのです。


人事制度の根本原理とは、

「望ましい行動に対して報酬を与えると、その行動が繰り返され、
 強化される」

「望ましくない行動に対して罰を与えると、その行動が少なくなり、
 改善される」

という、いわゆる「アメとムチ」の原理です。


人事制度での「アメとムチ」の代表例は給与制度です。
さらに具体的に言うと「昇給額」です。

望ましい行動には昇給額を増やし、
望ましくない行動には昇給額を少なくする(あるいは減給する)ことで、

社員さんのやる気を向上させ、パフォーマンスを高めようというのが
人事制度の根本原理です。


この根本原理は、一見すると理に適っているように思えるのですが、
さまざまな学者の研究によって、人間の本質を捉えていないことが
明らかになっています。

この「一見 理に適っている」ところが非常にやっかいで、
そのために人事制度はアメとムチを精緻化する方向で発展しました。

しかし、もう根本から見直す時期に来ていると思います。


これから数回に分けて、人事制度の新たな方向性を提示します。


普通の人事制度の考え方とはまったく逆の発想ですので、
最初は戸惑われるかもしれませんが、

人事制度について考えるきっかけとなれば、嬉しく思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年4月11日

人がイキイキと働ける職場の条件

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


今まで、社員を尊重する人事施策ということで、
「独立」「目標管理」「キャリア」などについて見てきました。

今回は少し視点を変えて、
これらの施策が効果を発揮する条件について見ていきます。


結論を申し上げると、

重要なのは「どんな施策」にするかというよりも、
経営者が社員を、上司が部下を「信じ切れるか」にかかっています。


経営者・上司の方々に聴けば、
おそらくほぼ全員の方が「社員・部下は大切」とおっしゃいます。

しかし、一挙手一投足にわたるまで、
その考え方を徹底して実践するのはなかなか難しいことです。

経営者や上司も人間ですから、感情に左右されることもあります。


例えば、社員が期待通りの行動をとらなかったとします。

もし本当に社員のことを信じているならば、
なぜそのような結果になったのかを「質問」するはずです。

しかし、多くの場合、自分の期待通りにならないことにイライラし、
よく状況を聴かないままに責めてはいないでしょうか。


あるいは、社員が経営に対して何か意見を言ったとします。

もし本当に社員のことが大切で、心から信じているならば、
どんな意見や提案でも、言ってくれたことに心から感謝するはずです。

しかし、社員の提案が、
自分が下した過去の意思決定を否定しているように感じてしまい、
何かしら理由をつけて却下していないでしょうか。


人間は完全ではありませんから、それは仕方のないことです。

しかし、重要なのは、そういう自分の弱さを謙虚に反省し、
常に自分を厳しく律し、高めていくように日々努力することです。

人材育成や部下育成も大切なことですが、
経営者や上司が自分の心を磨くことが、最も大切なことなのです。


いくら制度や施策としては社員を尊重していても、
日々の行動や態度がそれと違っていれば、何の意味もありません。

「会社はトップの器以上にはならない」とよく言われますが、
本当にその通りだと思います。


本当に社員がイキイキと働く会社をつくるには、
組織のトップである経営者や上司が「自律」することが大切です。

そして、経営者や上司が自律することで、
社員や部下と本当の意味でのパートナーシップを築くことができ、
「人の上に立つ者」としての喜びを味わうことができるのです。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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