人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2013年5月23日

給料ではモチベーションは上がらない

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


これまで、従来の人事制度の根本原理である「アメとムチ」を捨てた
逆発想の人事制度の3つのポイントをお伝えしました。

1.等級制度をなくす

2.評価と給与を分離する

3.キャリア開発制度を中心に据える


前回は、逆発想の人事制度の1つ目のポイントの「等級制度」に
ついて扱いました。

今回は、2つ目のポイントである「評価と給与の分離」について
お伝えしていきます。


人事制度理論の歴史を簡単に言うと、

  いかにして納得性の高い処遇(特に給与)を実現するか

を追求してきたと言えます。


そして、納得性の高い処遇を実現するためには
社員を"正しく"点数化する必要があり、

"正しい"点数化を実現するために
「職能」や「職務」「コンピテンシー」「役割」「責任」「成果」
などのざまざまな評価基準が生まれてきました。

人事制度の大前提には、
処遇(給与)というインセンティブによって社員のモチベーションが
上がり、パフォーマンスも向上するという考え方があります。


しかし、それが「幻想」であることは、お伝えしてきた通りです。


大きな理由は、

(1)人を評価することの限界、(2)金銭的報酬の限界、です。


1番目の「人を評価することの限界」については
前回でもお伝えしたので割愛しますが、

誤解のないように付け加えると、

人を評価して点数化することは不可能ですが、
かといって「社員を評価しなくても良い」ということではありません。

人が成長するためには、
他者からの評価を真摯に受け止めることが必要不可欠です。

社員の「成長」を目的とした評価は必要ですが、
「給与」を決めるために評価を行なうことが問題なのです。

これについては、次回にも扱います。


2番目の「金銭的報酬の限界」は、3つのポイントがあります。

1つ目のポイントは、
金銭的報酬で社員のモチベーションを上げようとすると、
お金が仕事の目的になってしまうことです。

仕事の目的というのは、
「仕事を通じて人の役に立つ」「仕事を通じて自己成長する」と
いうことです。

この本来の目的に沿えば、より高い目標にチャレンジすることは
当然のことです。

そうでなければ、自己を成長させることも、人に貢献することも
出来ないからです。

しかし、評価結果が金銭的報酬に連動した瞬間、
多くの社員は「お金」が働く目的になってしまいます。

少しでも評価結果の「見栄え」を良くして、
より多くの金銭的報酬を得ようとします。

つまり、低い目標を設定することで目標達成率を高く見せたり、
新しいことや難しいことにチャレンジするのではなく、
無難に業務をこなそうとします。

これは会社にとってマイナスであるだけでなく、
社員自身の人生にとってもマイナスです。

短期的には楽かも知れませんが、
長期的に見ると「使えない」人材になってしまうので、
生きがいにあふれる職業人生を歩むことができなくなってしまいます。


2つ目のポイントは、
金銭的報酬にはアルコールや薬物などの依存症に似た性質があり、
より強い刺激がなければ禁断症状(ここでは給与への不満)が
起こってしまうことです。

例えば、月給20万円の社員が昇給して21万円になったとしても、
その喜びが持続するのはせいぜい2~3か月です。

すぐに月給21万円が「当たり前」となってしまいます。

金銭的報酬で社員のモチベーション(私から言わせれば本当の
モチベーションではありませんが)を上げ続けようとすることは
不可能なのです。


3つ目のポイントは2つ目の延長ですが、
金銭的報酬で社員のモチベーションを維持しようとすると、
企業業績とは関係なく人件費が膨張するということです。

かつての高度経済成長期であれば話は別ですが、
現在は現状を維持するだけでも大変な時代ですから、
金銭的報酬でモチベーションを維持するのは困難と言ってよいでしょう。


では、どうすれば良いのか?答えは簡単です。


金銭的報酬でモチベーションを上げるという幻想を捨て、
評価と金銭的報酬(給与)を切り離せば良いのです。

評価と給与を分離するという設計コンセプトは、
これまでの人事制度の歴史から見ると逆の発想です。

しかし、時代が大きく変わろうとする中で、
今までの常識を捨て去る勇気を持つことが大切だと、私は思います。


いよいよ、評価と給与が分離した人事制度の概要をお伝えしていきますが、
今回はかなり長くなりましたので、次回以降で提案していきます。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年5月17日

「等級制度」のデメリット

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前々回は、従来の人事制度の根本原理である「アメとムチ」を捨てた
逆発想の人事制度の3つのポイントをお伝えしました。

1.等級制度をなくす

2.評価と給与を分離する

3.キャリア開発制度を中心に据える


今回は、前回から引き続き、「等級制度をなくす」という考えの
理由について考えていきましょう。


前回は、等級制度というのは、柔軟な組織運営を妨げる上に、
設計にも時間と労力がかかるというお話をさせていただきました。


加えて、運用にも労力がかかります。


私の知る限り、等級制度の運用を厳密に行なっている中小企業は
ほとんどありません。

制度の内容をまったく理解できていない企業もありました。

人事専任部署を置いて運用に努力している企業も、

人事担当者しか制度内容を理解していないので、
人事担当者が「自分たちは現場より上だ」という間違った認識を
醸成する原因ともなっています。


また、経営環境の変化によって組織体制を変更すると、
必然的に等級制度を見直す必要が出てきますが、

複雑すぎる等級制度は見直す作業にも労力がかかります。

あるいは等級制度が障害となって、組織変更に支障が生じます。


このように、等級制度のねらいである、

1.人事処遇の意思決定の合理性・納得性を高める
2.昇格をインセンティブとしてモチベーション向上を図る

に関しては、皮肉なことに等級制度の存在が逆に障害となります。


乱暴な言い方をすれば、等級制度というのは

「作るのにも時間と労力がかかるし、運用にも時間と労力がかかる。
 加えて、しっかり運用したとしても、柔軟な組織運営を妨げる」

というデメリットばかりの制度なのです。


百歩譲って、等級制度に組織運営上のメリットがあるとしても、

等級制度の構築と運用にかける時間と労力があるならば、
他の施策に時間と労力を回した方が生産性は高くなるでしょう。


したがって私の提案は、本当に社員のモチベーションを上げ、
会社のパフォーマンスを高めたければ、

「等級制度はいらない」ということです。


実際に等級制度をなくしたとしたら、
人事制度がどのような姿になるのかは次回以降で提案していきます。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年5月 9日

問題が山積みの「等級制度」

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。

前回は、従来の人事制度の根本原理である「アメとムチ」を捨てた
逆発想の人事制度の3つのポイントをお伝えしました。

1.等級制度をなくす

2.評価と給与を分離する

3.キャリア開発制度を中心に据える


今回は、「等級制度をなくす」という考えの理由となっている
等級制度がもたらす問題について考えていきましょう。


最も根本的な理由は、前回でもお伝えしたのですが、
「人が人を評価することの限界」に起因します。

等級制度が成立するには、
「人を格付けできる=点数化できる」ことが大前提となります。

しかし、突き詰めて考えていけば、
人に"正しく"点数をつけ、"正しく"格付けすることなど
不可能です。


能力の高さや役割・責任の大きさ、会社への貢献度などによって
処遇に差が生じるのは当然のことですが、

その根拠を評価制度による「評価=点数」にすることは、
客観的合理性、妥当性が担保できないのです。

等級制度はその大前提からして疑わしいと言わざるを得ません。


「人が人を評価することの限界」に関しては次回で詳しく扱い、
今回は等級制度の問題点に焦点を絞りたいと思います。


等級制度のねらいの1番目に挙げた、
「人事処遇の意思決定の合理性・納得性を高める」に関しては、
ほとんどの等級制度はまったく逆に機能しています。

等級制度が障害となって登用・異動を迅速かつ適切に実施できず、
柔軟な組織運営の足かせになっていることがほとんどです。

等級制度がもたらす組織運営上の代表的な問題としては、
次のようなものがあります。


等級制度がもたらす組織運営上の問題

 ●等級制度の通りに登用を行なおうとすると、
  能力の高い有望な若手社員を登用できない。

 ●人事異動によって給与額が変わることを社員が嫌って、
  柔軟な異動ができない。あるいは、それを回避するために
  調整給を設ける付け焼き刃的な対応が増える。

 ●仕事の内容や質は変わらず等級だけ上がる社員が発生し、
  仕事と給与にミスマッチが起こる。

 ●等級だけ上がった役職なしの社員を救済するために、
  名ばかりの役職が生まれる。

要は、制度と実態が乖離を起こすのです。


何故このような乖離が起きるかというと、
これも「人が人を評価することの限界」が根本原因です。

そもそも人を格付けすることなど不可能であり、
その不可能なことを"無理やり"に形にしようとすると、
制度はドンドンと複雑な構造にならざるを得なくなります。

複雑になった等級制度は、
もはや組織運営の実態とはかけ離れてしまっています。

制度のつじつまを合わせることが目的となっているからです。

皮肉なことに、複雑な構造であるからこそ、
等級制度の設計には大変な労力と技術が必要となり、
人事コンサルタントや人事担当者の「腕の見せどころ」と
なってしまいました。

そして、ますます柔軟な組織運営を妨げる存在と
なっていったのです。


少し蛇足になりますが、
「職務分析」「等級制度設計」「評価と給与の連動」は
人事制度構築の山場であり、
人事コンサルタントや人事担当者がノウハウを発揮できる場です。

しかし、私の考えでは、詳細な職務分析など必要ありませんし、
等級制度も必要はなく、
給与制度も評価と分離し出来る限りシンプルにするべきです。

私は、複雑な人事制度は人事コンサルタントや人事担当者の
自己満足だと考えています。


少し長くなってしまいましたので今回はこれで終わります。
次回は等級制度の問題点を、さらに突っ込んでいきたいと思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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