人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2013年7月25日

残業代問題が抱える矛盾

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


中小企業の人事・労務にたずさわる者にとって、
残業代の問題はいつも頭を抱えさせられる難しい問題です。

なぜ難しいかと言えば、
この残業代の問題がさまざまな矛盾をはらんでいるからです。


まず1つ目の矛盾は、

単に労働時間が長いというだけで給料が増えるということです。

同じ仕事を、8時間でできる人と10時間もかかる人とでは、
明らかに短時間で完了できる人の方が高いスキルを持っています。

しかし、残業代という仕組みに乗せると、
低いスキルで長時間働く人の方が、給料が多くなってしまいます。



2つ目の矛盾は、

1日8時間、週40時間という時間から時間で働く仕事の仕方が
その人の人生を豊かにするのか?ということです。

仕事を通して得られる充実感や達成感というものは、
多くの場合、たくさんの苦悩や困難を乗り越えた後に得られます。

そのなかで、社会に対して価値を与えられるスキルが身につき、
自分自身の人生を切り拓いていけると思うのです。

しかし、時間から時間で働くという仕事の仕方をしていて、
仕事を通じて自分自身の人生を切り拓いていけるでしょうか?


もちろん、健康上に問題のある人や産前産後・育児中の人、
親の介護などで定時には帰宅しなければならない人は別です。

仕事が人生の全てではありませんから、
それぞれの事情に合わせた働き方ができる環境は絶対に必要です。


しかし、キャリアの節目にある人、

例えば、新入社員、新しい仕事を任された人、役職に就いた人、
仕事でなかなか結果が出せない人などのような人に関しては、

寝食を忘れて仕事に没頭する必要があると思うのです。

そうでなければ、自分の人生を切り拓いてはいけません。


これらのキャリアの節目にある人に関しては、
残業代などよりも、思う存分に仕事に集中できる環境こそが
必要だと思います。

もちろん、健康が一番だということは言うまでもありませんが・・。


そこで、これらの矛盾を軽減するために(ゼロにはできません)、
私は多くの会社で「固定残業手当」を導入していただいています。

固定残業手当とは、ある一定の残業が発生することを見込んで、
毎月の給料に残業代を組み込んでしまおうという考え方です。


これは、人事コンサルタントのなかでも意見が分かれます。
固定残業手当はやめた方が良いという人事コンサルタントもいます。

その大きな理由としては、

1つ目には、固定残業手当を支給するとしても、
見込んだ残業時間を超える部分の残業代は支給する必要があるので、
労働時間管理の負担がなくなるわけではないということです。

2つ目には、固定残業手当を明確に規程化しておかないと
基本給に組み込まれてしまう、つまり残業代と認められないことが
あるからです。


私はその考えを否定するつもりはないので、
その考えに共感されるのでしたら、そうされると良いと思います。

ただし、私は固定残業手当を導入しても、
社員さんの健康管理のために労働時間管理はするべきだと思いますし、
明確に規程化するので2つめの理由のリスクも回避できます。


ただ、私が固定残業手当を提案するのは、少し観点が違います。


私が固定残業手当を提案する理由を述べようと思ったのですが、
かなり長くなってしまいましたので、来週にしたいと思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年7月18日

社員が成長する目標管理制度とは?

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


当社に人事制度のご相談をいただく経営者さまは、
ほとんどの方が社員さまを大切にしたいと心から願っています。

そもそも、社員さまを単なる道具だと思っている経営者は、
「生きがいラボ」という名のコンサルティング会社を選ばないでしょう。

本当に、当社はお客様に恵まれていると思います。


多くの中小企業に採用されている目標管理制度(MBO)ですが、

社員さまを大切にしたい経営者さまの多くは、
自社のMBOが社員さまの成長に貢献していないと感じています。


・MBOがマンネリになっている
・社員さまが高い目標にチャレンジしようとしない
・社員さまがMBOの評価結果を素直に受け入れていない
・運用に大変な労力がかかるため運用されなくなってしまった


多くの場合、MBOは賞与や昇給の査定に使われていますが、
私がご相談をいただく度にお伝えすることは、

評価結果を賞与額や昇給額の決定のために使っている限り、
MBOが社員さまの成長に貢献することはない、ということです。


では、賞与額や昇給額などの「給与」を何で決めるかについては、
結論を言うと別のロジックで決定することになるのですが、

今回は目標管理制度にテーマを絞りたいので、あえて割愛します。


目標管理制度が社員さまの成長を促進していくためには、

自分の実力以上の目標に果敢にチャレンジし、
良い結果も悪い結果も自分の実力として素直に受け入れることが

必要となります。

しかし、MBOの評価結果によって賞与や昇給を決定することで、
MBOがこれらの機能を果たさなくなります。


MBOが給与に連動すると、次のようなデメリットが起こります。

1.目標を低めに設定して(見た目の)達成率を高くしようとする
2.自分の苦手分野の目標をなくそうとする(必要な事柄でも)
3.新しいことにチャレンジしたくなくなる
4.評価結果に不満を持ち、素直に受け入れて反省しなくなる
5.目標を画一化する必要があり、個別の状況に合わせられない
6.測定可能な目標に偏り過ぎ、バランスの良い目標ではなくなる
7.制度が複雑になり、運用の負担が大きくなる


いろいろ挙げましたが、
一言で表現すると「本来の機能を果たさない」ということです。


1番目から4番目までは、人間の心理が影響しています。

評価結果によって自分の収入が決まるということになると、
なんとかして評価結果の見栄えを良くしたい心理が生まれます。

その心理が、目標設定を自分の都合の良いように操作したり、
好ましくない評価結果を認めないという現象を生み出します。

これは人間が誰もが持っている傾向ですから、
「その人が悪い」と一方的に決めつけることはできません。

制度が人間の本質を捉えていないことが問題なのです。


5番目から7番目までは、仕組み上の問題です。

本来は、人それぞれに置かれている状況や能力が違いますから、
目標もそれに合わせて人それぞれに設定するべきです。

しかし、査定するためには画一の基準が必要となったり、
数値化できないことを無理やりに数値目標にしたりします。

これでは、目標管理の意味がありません。

また、さまざまな係数(難易度や重要度など)によって
合理性を高めようとして制度がドンドンと複雑怪奇になります。

そして、運用できなくなるのです。


目標管理と給与を分離することによって、
これらの問題を一気に全てクリアにすることはできませんが、

MBOが社員さまの成長に貢献する制度に生まれ変わる可能性が
広がっていきます。

MBO本来の機能を果たせるスタート地点につけるのです。

しかし、MBOと給与を連動している限り、
このスタート地点につくことも出来ず、逆走の可能性もあります。


今までの人事制度の常識とは全く違う提案になりますが、
目標管理制度の問題点を見つめ続けた経験からくる私の結論です。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年7月11日

社員の人生を応援する人事制度

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


これまで、従来の人事制度の根本原理である「アメとムチ」を捨てた
逆発想の人事制度の3つのポイントをお伝えしました。

1.等級制度をなくす

2.評価と給与を分離する

3.キャリア開発制度を中心に据える



前回は、キャリア開発制度で成長をサポートする要素の1番目として、
「人間性」について扱いました。

今回は、その他の2つの要素についてお伝えしていきます。


2番目は、「業界独自の専門知識・専門スキル」です。


それぞれの企業には、必要となる業界独自の知識や技術が存在します。
例えば、飲食業で言うなら、食材や調理方法の知識や調理技術などです。

自社において必要となる「専門知識」と「専門スキル」を洗い出します。


3番目の側面は、「普遍性のある知識・スキル」です。


「普遍性のある」とは、違う業界でも通用する、という意味です。

例えば、マネジメントやリーダーシップ、マーケティング、計数管理、
コミュニケーション、コーチングなどの知識やスキルは、

業界に関係なくどの企業でも必要となるものです。

さらに言うと、仕事だけではなくプライベートでも必要となりますので、
豊かな人生を歩んでいくためには必要不可欠な知識・スキルと言えます。


キャリア開発制度では、

1.人間性
2.業界独自の専門知識・専門スキル
3.普遍性のある知識・スキル

の3つの側面で自社において必要となる「知識・スキル」を洗い出し、
自社のキャリアパスにしたがって整理していきます。

そして、どのように習得をサポートするかを規定します。


サポートについては、「OJT」「OFF-JT」「自己学習」の
3つの方法を組み合わせて設計します。

特に重要なのは、「どのように経験・実践する機会をつくるか」です。

よくあるのは、研修などのOFF-JTによって知識は付いたが、
実践する場がないので身に付かないまま終わった、というケースです。

したがって、OJTには「ジョブ・ローテーション」や「異動」
「登用」などの人事上の施策も含める必要があります。


ここまで見てきたように、

評価結果はすべてキャリア開発制度に集約され、
社員が自分のキャリア(人生)を設計して自己成長を図るための情報
として活用されます。

自己成長のための評価ですから、
評価項目や基準が一人ひとり異なっても全く問題はありません。

評価結果を給与に連動させなければ、
統一の評価項目と評価基準で点数を付けていく必要がありません。


私は、本当に生きがいにあふれる職場をつくるならば、
社員一人ひとりが自分自身で人生を設計していくことが必要になると
考えています。

自分の人生を自分自身で設計するからこそ、

そこに本当の意味での主体性が生まれ、
仕事本来の喜びや充実感を得ることができるようになるのです。

そこで必要となるのが、
社員の人生設計をサポートする制度であるキャリア開発制度です。

人事制度が、社員の処遇を決定するための制度ではなく、
社員の人生を応援する制度に生まれ変わることによって、

社員のモチベーションが上がり、生きがいにあふれる職場づくりが
できるものと確信しています。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2013年7月 3日

人間性を磨く環境づくり

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。

これまで、従来の人事制度の根本原理である「アメとムチ」を捨てた
逆発想の人事制度の3つのポイントをお伝えしました。

1.等級制度をなくす

2.評価と給与を分離する

3.キャリア開発制度を中心に据える


今回から3番目の「キャリア開発制度」の内容についてお伝えします。


キャリア開発制度をシンプルに言うと、
①どんな知識・スキルを、②どんな方法で習得するか、について
会社がサポートする内容を決めることです。

「誰が」「どんなタイミングで」などの個別的な事項については、
上司と本人が面談のなかで相談しながら意思決定することになります。

何から何まで制度で規定するのは無理があります。
事前に決められないことは、その都度、意思決定すれば良いのです。


1番目の「知識・スキル」に関しては、3つの側面に分けて考えます。

まず1つ目が、「人間性」です。

人間性は知識やスキルではありませんが、
人生を豊かにするためには必要不可欠ですので、あえて含めています。

人間性のなかでも特に重要な項目は、
「規律性」「責任性」「積極性」「協調性」「自律性」の5つです。

これらの習得方法ですが、最も効果的なのは360度評価制度によって
複数名からのフィードバックを行ない、「気づき」を促すことです。

例えば、協調性に課題がある社員がいたとして、
上司一人からの評価だと「上司は自分を分かってくれない」という
言い訳も言えますが、

複数名から同じ評価があると、少なくとも「周りにはそう見えている」
という事実を受け入れざるを得ません。

人が変わる時には、まず現状に「気づく」必要がありますので、
360度評価制度によって気づきやすい環境を作り出すのです。

もちろん言うまでもなく、360度評価の評価結果が給与に連動すると、
素直に反省することができなくなりますので、

あくまでも成長のための情報として位置づけることが大切です。


次回は、知識・スキルの2番目と3番目をお伝えします。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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