人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2015年8月27日

賞与は「納得」ではなく「理解」を目指す

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前々回と前回から引き続き、賞与について扱います。

前回は、「賞与はモチベーションの源泉に相応しくない」という
前提について扱いました。

今回は、賞与の位置づけについて、考えていきたいと思います。


賞与がモチベーションの源泉にならないならば、
賞与制度を設計するときには、何を判断軸にすれば良いのでしょうか。


そのキーワードは『理解』です。


一般的に、賞与に限らず人事制度を設計するときには、
いかにして『納得度』や『満足度』を高めるかを考えると思います。

それが、モチベーションの源泉になると考えるからです。


しかし、前回にも述べたように、

金銭的報酬には「依存性」がありますから、
「納得」「満足」させ続けるためには、賞与額を上げ続ける必要が
あります。

企業経営には浮き沈みが付き物ですから、
賞与額を上げ続けることは、現実的に不可能に近いことです。

もし行おうとすると、借り入れをしたりする必要が出てきます。

賞与支給のための借入が常態化すると、
ジワジワと企業のキャッシュフローを圧迫することになり、

最終的には、
社員さんの生活基盤である月給を減額せざるを得ない事態を
招きかねません。


それを避けるためには、賞与を企業業績と連動させ、
「利益の還元」という位置づけにすることが必要となります。


この考え方にもデメリットがあります。

賞与が減る、あるいは、業績によっては賞与が支給されない
ということもあり得るということです。

賞与が減れば、「納得できない」「満足できない」という感情を
持つ社員さんもたくさん出ることでしょう。


しかし、これが賞与という仕組みの限界です。


もし、企業業績が悪いという理由で賞与が減額になったことで、
「やる気が出ない」という社員さんがいらっしゃったとしても、

マイナスの感情をプラスのエネルギーに変えていくかどうかは、
会社の問題ではなく、社員さんご本人の問題です。


自分の感情の浮き沈みまで会社の責任にするのは、
厳しいようですが、あまりにも他律的な価値観だと思います。


賞与で「納得」「満足」を目指さないのであれば、
何を目指せば良いかというと、それが『理解』ということです。


「理解」、つまりは「頭で分かる」ということが
賞与制度を設計するうえでは、最も重要視される要素になります。


たとえば、仮に賞与額が減ったとしても、

「賞与が減ってガッカリしたけど、現状を考えたら仕方ない」

という風に、理性的に考えられるように設計する必要があります。


そういう賞与制度を設計するためには、
整備すべき要素がたくさんあるのですが(たとえば基本給の制度)、

特に大切なのは、「意思決定に至る手続きの妥当性」です。


妥当性を高めるためには、

・意思決定プロセスが透明であること
・しかるべき意思決定機関によって決定されていること

が求められます。


そして、制度の妥当性を、社員さんが理解できるまで
何度も何度も繰り返し説明していくことが、必要となります。

金銭的報酬に関しては、まずは感情が動きますから、
制度の妥当性を冷静に理解できるまでには、時間がかかります。


賞与を「利益の還元」と位置づける意味と、
その「決定プロセスの妥当性」を理解してもらうためには、

じっくりと誠実に、繰り返し説明する粘り強さが必要だと思います。


次回は、賞与を利益の還元にすることが、
なぜ社員さんの生きがいに繋がるのかをお伝えしたいと思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2015年8月 7日

賞与を考える前提となる金銭的報酬の弊害

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回から引き続き、賞与について扱います。

前回の最後に、賞与は「利益の還元」という位置づけが良いと
お伝えしました。

そしてそのことが、社員さんの「生きがい」にもつながっていくと
お伝えしました。

今回からは、その理由について考えていきたいと思います。


まず、給与や賞与というような金銭的報酬について考えるときに、
前提として持っておかなければならないのは、

『金銭的報酬でモチベーションを上げ続けることは不可能である』

という考え方です。

このことは、今まで何回もお伝えしてきたことなのですが、
とても大事なことなので、今回も説明していきたいと思います。


金銭的報酬による人事施策が危険な主な理由としては、

1.金銭的報酬は、パフォーマンスを低下させる
2.金銭的報酬は、依存性がある
3.金銭的報酬は、視野を狭くする

というデメリットがあるからです。


1番目の「パフォーマンスの低下」についてですが、

金銭的報酬を提示されると、仕事自体の楽しさや充実感ではなく、
「お金」の方に意識が向いてしまいます。

つまりは、内発的動機づけが失われてしまい、
仕事に対する創造性や自主性、積極性が阻害されてしまいます。

ルーチン作業であれば、それでも問題はないかもしれませんが、
「考える力」「創意工夫」が要求されるような仕事であれば、
仕事の成果が落ちてしまいます。


2番目の「依存性」とは、より強い刺激を求めるということです。

つまりは、より多くの金銭的報酬を得ることができなければ、
満足できなくなるということです。

現在の経営環境のなかでは、給与や賞与の額を上げ続けることは、
非常に困難です。

実際には、昇給されたり、賞与が支給されていても、
上がり幅が少なくなっただけで、不満要素となってしまいます。


3番目の「視野を狭くする」についてですが、

一言でいうならば、人間の自分勝手な部分が助長されてしまう
ということです。

例えば、賞与が支給されることが慣習となっていたならば、
たとえ会社の業績が厳しくても、賞与を求めるようになります。

全体のことには目が向かず、自分のことだけに意識が向くように
なってしまうのです。

あるいは、もっと極端な例でいうと、

不正やごまかしを行ってでも、より多い金銭的報酬を得ようと
してしまうことも起こってきます。


これらの金銭的報酬の危険性を考えると、

賞与支給をモチベーション施策の一部だと位置づけることは、
思っているような効果が得られないばかりか、

逆効果になることの方が多いのです。


これらの前提を踏まえて、次回も、賞与の位置づけについて
考えていきたいと思います。

          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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