人事コンサルタントの『生きがい』づくり日記 人事コンサルティング会社 生きがいラボ

2016年9月15日

■給与を提示するのは、会社ではなく社員側であるべき

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、「給与は投資である」というコンセプトに込められた

1.給与は、「未来の貢献」に応じて支払われる
2.給与は、「主観」に基づいて支払われる
3.給与は、「社員側」から提示される

という3つのメッセージのなかの、2つ目について扱いました。

今回は、3つ目の「給与は社員側から提示される」について
解説したいと思います。


給与の定義を変革したときに、

3つ目の「給与は社員側から提示される」という部分が、
社員さんにとってはもっともインパクトがあるのかもしれません。


一般的には、給与額を決めるのは会社側という認識であり、

ある給与額を得るための方法(=評価基準)まで提示するのも
会社側の責任だという認識が定着しています。

給与に関する意見のなかで、

「どうやったら給料が増えるのか、会社・上司が示すべきだ」
「どうやったら評価が上がるのか、会社・上司が示すべきだ」

という声が根強くあるのは、
給与を決めるのは会社側という認識が強いことの現れです。


しかし、この認識は、社会の原則から逸脱しています。


投資を得ようとする事業家が、

「何をしたら投資してもらえるんですか?」
「適切な投資額はいくらですか?その根拠も示してください」

と、投資家に対して言うでしょうか?


仮にそれを言った瞬間、投資を得られないことが決定します。

なぜなら、自分で考えていないということが露呈するからです。
そんな事業家に投資する人はいません。


会社に対してどんな「貢献」をするのか、
そしてそれがどれほどの「価値」があることなのかを示すのは、

社会の原則からすると、社員側の仕事なのです。


私のこの考えは、一般的な認識とはまったく逆の発想なので、
すぐには受け入れられないかもしれません。


しかし、人生を自分の意思決定で切り拓いていこうとするとき、

「自分を使って、社会に対してどのような貢献をするのか?」

を自分で決めることは、避けては通れない道です。


それを自分で決断するからこそ、真の生きがいが生まれます。


逆に、自分が何をするのかの決断を自分でしなければ、
いつも現状に満足できず、やらされ感ばかりが高まります。

仕事が楽しくなくなるのです。

豊かな職業人生のためにも、「給与を自分から提示する」という
自律した意識が求められるのです。


「給与を社員側が提示する」という給与制度にした場合、
個別給与額が制度によって自動的に決まることがなくなります。

会社と社員の「対話」が必要になります。

お互いのことを尊重し、ともにより良い方向に向かっていくために
対話を繰り返すことでしか、本当の信頼関係は築けません。

評価で点数をつけ、その点数で自動的に給与額を計算するという
従来の給与制度では、信頼関係は築けないのです。


給与の定義を「給与は社員側から提示される」と変えることは、

会社(経営者・上司)と社員が、本当のパートナーとしての
信頼関係を築くために必要なことなのです。


今回は、「給与は社員側から提示される」を解説しました。

次回は、この3つの定義にもとづいて給与制度を構築するために
必要な「経営側の意識変革」について解説したいと思います。


          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2016年9月 9日

■主観によって給与を決定する

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、「給与は投資である」というコンセプトに込められた

1.給与は、「未来の貢献」に応じて支払われる
2.給与は、「主観」に基づいて支払われる
3.給与は、「社員側」から提示される

という3つのメッセージのなかの、1つ目について扱いました。

今回は、2つ目の「給与は主観に基づいて支払われる」について
解説したいと思います。


以前に、ある投資ファンドを運営している人から伺ったのですが、
その人は、事業に投資するかどうかの判断を行うときに、

応接室の時計の時刻が合っているか、や
会社のトイレがきれいかどうか、

なども判断材料に入れているとおっしゃっていました。


それはなぜかというと、
応接室の時計の時刻を合わせるのは、誰の業務でもない訳ですが、

そういう誰の業務でもないような部分がキチンとできているかが、
その会社のチームワークや意識レベルを表すのだそうです。

トイレがきれいかどうかも、同じ理由です。

もちろん、事業計画も丹念に確認しますが、
事業家の情熱や使命感、人間性なども重要な判断基準となります。

つまりは、投資をするか・しないかの意思決定は
多面的な視点による「総合判断」によって下されるということです。


このことは、給与決定でもまったく同じことが言え、

社員が未来でどれだけ貢献するのかを判断していくためには、
数値で表現できない要素を含めた総合判断が必要だということです。


しかし、今までの給与制度は、

社員が給料に納得しないのは客観性がないからだと勘違いし、
無理に客観性を高めるために制度を複雑怪奇にしていったのです。

あるいは、客観的に数値化できる部分だけに着目し、
貢献のごく一部分だけを取り上げた制度にしてしまったのです。


社員の未来の貢献を、完全に客観的に表すことは不可能ですから、
主観で給与を決めるという立場をとるべきです。


ただし、単純に主観で決めると割り切るだけでは不十分であり、
次の2つの取り組みが必要になります。


1.企業と社員がお互いを尊重し、対話を行う
2.主観を集めることで、客観に近づけていく


まず1つ目の取り組みについてですが、

画一的な数値指標で未来の貢献を判断することは不可能ですから、
膝を突き合わせて、本音で対話するしかありません。

社員は、会社の成長・発展のために生きているのではありません。

社員は、自分自身の幸せを実現するために生きているのであり、
会社が成長・発展するのは、その手段の一つです。

社員は、会社の道具ではないのです。

一人の独立した個人として社員の夢や目標、ビジョンを尊重し、
誠実に向き合うことが企業には求められます。

そのなかで、お互いの想いを伝えあい、相互理解を促進し、
信頼関係を深めていくことで望ましい関係が構築できるのです。

制度によって点数をつけることでは、信頼関係は築けません。


2つ目の取り組みは、主観を利用するということです。


そもそも、「客観」というのは「主観」の集まりです。

一人の評価だと単なるその人の主観ですが、
たくさんの人が同じ評価をすれば、そこには客観性が生まれます。

つまりは、直属の上司だけではなく、
直属ではないマネジャーや同僚などの主観も参考にしながら、
より多面的な目で見ていけば、総合判断に近づくということです。

周りから信頼されるような言動を普段からしていたとすれば、
主観で評価されても、高い評価が得られるはずです。

それとは逆に、
周りからの信頼を得ていなければ、厳しい評価になります。

その方が、画一的な評価基準で評価するよりも現実的ですし、
一人ひとりの社員に対する理解も深まります。

そのことによって、お互いの成長をサポートするという
企業風土の醸成にもつながります。


今回は、「給与は主観に基づいて支払われる」を解説しました。

次回は、3つ目の定義である「給与は社員側から提示される」を
解説したいと思います。

          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

2016年9月 1日

■未来の貢献に対して給与を決定する

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、給与の意味を「労働の対償」から「投資」へと変え、

1.給与は、「未来の貢献」に応じて支払われる
2.給与は、「主観」に基づいて支払われる
3.給与は、「社員側」から提示される

と定義することで、
給与制度に「自律」のメッセージを込めることをお伝えしました。

今回からは、3つの定義について一つひとつ解説していきます。


一般的に、給与というものは「過去の実績」に応じて支払われる
という性質のものでした。

このことが、2つの問題を発生させています。


1つ目は、給与制度で決まった個別の給与額と、
経営者が考える適切な給与額にズレが生じてしまうことです。

経営者が持つ給与の意思決定基準は、過去の実績とは正反対です。

多くの企業経営者は、過去の実績を参考にしながらも、
その社員の「未来の可能性」に対して給与を支払っています。


企業経営者が「未来の貢献」に対して給与額を決めたいのは、
当然のことです。

なぜなら、経営において大切なのは、過去より未来だからです。

経営者が描くビジョンも戦略も、すべて未来のことであり、
そこには過去からは導き出されない非連続性が存在しています。

人事制度を通して決定した個別の給与額に対して、
経営者が違和感を持つのは、このズレが根本的な原因なのです。


2つ目は、給与決定のときに建設的な議論にならないことです。

企業経営においても、一人ひとりの社員さんの人生においても、
大切なのは過去より「未来」です。

しかし、給与が「過去の実績」で決まるという仕組みであれば、
「過去の実績をどう解釈するか」が議論の中心になります。

過去をふり返ることが無意味とは言いませんが、
それよりももっと大切な「未来」を話し合う時間が奪われます。

もっと「未来」について対話すべきであり、
私が「給与は投資である」という考え方を提唱するのは、

経営者・管理職・社員さんが「未来」について対話する時間を
もっと増やすべきだという問題意識からです。

企業経営においても、一人ひとりの人生においても、
その最重要テーマが「どのような未来を創造するか」であれば、
給与制度もそのコンセプトで設計すべきだと私は思います。


1つ目の定義の「給与は未来の貢献に応じて支払われる」について
解説しました。

次回は、2つ目の定義である「給与は主観に基づいて支払われる」
を解説したいと思います。

          生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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